Xperia 10Ⅲについて今回は購入をしてみたのでそちらのレビューを行いたいと思います。
最新のXperiaかつ21:9という超縦長のディスプレイを持ったXperiaの中では、価格的にも買いやすくてスペック的にも十分なものを持った機種となるため、大多数のユーザーにとってはXperia 1Ⅲよりも現実的な選択肢に入ってくるスマホかと思います。
日常使い用のスマホとしてこれまで以上に期待されている機種かと思うので、どの程度の実力を持っているのかといったところを確認していきたいと思います。
Xperia 10Ⅲの良かった点・悪かった点
良かった点
- 高額すぎない価格で性能が良いためXperiaの中では買いやすい
- 21:9という特殊なディスプレイが使える
悪かった点
- 機能性といったところが少ない
- カメラ性能が価格を考えると高くない
- 細かい不具合が多い
発売と価格・キャリア情報
発売日は6月18日前後。
販売キャリアはドコモ/au/Y!mobileです。
価格はそれぞれ以下の通り。
販売価格 | 端末返却を含んだ購入補助価格 | |
ドコモ | 51,480円 | ─ |
au | 53,985円 | 1,575円×23回+17,760円 =実質36,225円 |
Y!mobile | 54,000円(端末のみ) (機種変更:46,800円) (新規MNP:36,000円) | ─ |
販売価格としてはこのようになっています。
新規やMNPでの契約によってはここから大きな割引が入るため、キャリアメールなんかを既に廃止しているユーザーはMNPで購入をしてみてもいいかもしれません。
特にahamoやpovoユーザーなら一旦旧プランの契約を挟む形で割引目的にMNPしてもよいのではないかと思います。そうすれば3万円台での契約といったところも可能になってくるでしょう。
なおドコモの場合にはXperia 10Ⅲと純正カバーを購入するともれなく3,000dポイントがもらえるキャンペーンを実施しているため、こちらを利用するとお得な形でスタンド機能を持ったカバーもセットにしてスマホを手に入れることができるのでチェックをしてみてください。
auでは初めての5G契約への変更かつ12か月以上機種変更をしていない、そして使い放題 MAX系のプランへの加入で5,500円分のau Payへの還元が実施されます。
これによって実質的な機種変更価格が48,485円という金額を実現できます。機種変更でも安くなるために、auユーザーはこちらの契約も検討してみてもいいでしょう。
Y!mobileではPayPayボーナス3,000円分が特典として用意してくるため、実質価格はここから3,000円下がるという点は確認しておいてください。
※さらに7月2日のY!mobile発売日までに予約をしたうえで購入をすると、PayPayボーナスが5,000円分戻ってきます。契約込みでなら機種変更でも46,800円と安く、実質価格は4万円台前半に。
しかも新規やMNPならば3万円台前半にまで安くなるので、Y!mobile契約でのXperia 10Ⅲ購入、というのはありでしょう。
ドコモオンラインショップ:Xperia 10Ⅲ SO-52B
Xperia 10Ⅲのスペック
Xperia 10Ⅲ | |
OS |
Android 11 |
SoC | Snapdragon 690 5G |
ディスプレイ | 6.0インチ/有機ELフルHD+ |
RAM | 6GB |
ROM | 128GB |
アウトカメラ | 800万+1200万+800万 |
インカメラ | 800万 |
サイズ |
154×68×8.3㎜ |
重量 | 169g |
バッテリー | 4500mAh |
その他 | IPX5/8 IP6X 防水・防塵、おサイフケータイ、イヤホンジャック |
各種搭載機能
ナビゲーションキー配置 |
左:戻る 中央:ホーム 右:アプリ履歴 (設定でジェスチャー操作に変更可能) |
---|---|
SDカード対応 | 最大1TB対応 |
指紋認証・顔認証対応 | ○/× |
バッテリーセーバー機能 | いたわり充電 |
リフレッシュレート変更機能 | なし |
ゲーミングモード | なし |
通知ランプ/AOD機能 | 通知ランプあり |
通知パネルの独特な機能 | 特になし |
その他 | 21:9の特殊なディスプレイアスペクト比 |
機能面で新しく追加されたのはポップアップウィンドウがあります。
こちらは通常のアプリを利用したままメッセンジャーアプリなどを利用できる、という機能になっています。
これ以外では特に新規の機能が用意されていないので、その点は若干ガッカリさせられます。
重さも軽い仕様が続いた廉価モデルの中では、170g近いものになっており従来ユーザーほど端末を重たく感じてしまう仕様になっています。
HSパワーコントロールのようなハイエンドモデルに採用されていた機能も用意されていません。
この辺りの機能性の追加というのがハイエンドからもそうですが、10Ⅱからもあまり用意されていないのは気になるところです。
Xperia 10Ⅱとの比較
Xperia 10Ⅱと比較をしておくと、まず若干本体のサイズ感に変更が入り短くなっています。
ディスプレイの表示領域自体は変わらないものの、コンパクト化がされています。横幅68㎜と相変わらずの大画面でありながら持ちやすいサイズ感を実現しています。
Xperia 10Ⅲ | Xperia 10Ⅱ | |
SoC | Snapdragon 690 5G | Snapdragon 665 |
Antutu | 343187 | 193645 |
サイズ | 154×68×8.3㎜ | 157×69×8.2㎜ |
重量 | 169g | 151g |
指紋認証も1段精度は上がったでしょうか。不満のない認証速度を見せてくれています。
デザイン面では特に大きな変更は見当たらないでしょうか。
性能面での進化は如実に感じられます。
Xperia 10Ⅱでは動作のところどころでプチフリ的なカクつきが見られていましたが、そうした動きがほとんど見られないほどに動作面では改善がなされています。
この辺りは双方のAntutuスコアの差が動作に出ています。Snapdragon 665と690 5Gでは型番以上に動きの差があります。
ただもう少し細かく比較していくと、後述しているカメラの動作やディスプレイの品質といったところにおいて10Ⅱよりも見劣りする部分が見られ、若干残念なところが見られます。
Xperia 10Ⅲ、各種基本性能
Antutu/3DMarkなどベンチマークスコア
まず性能面をベンチマークアプリで確認をしていきましょう。
性能に関するベンチマークについては最もポピュラーなAntutu Benchmarkアプリを利用し確認していきます。
こちらの数値を他のモデルと比較していくことで、Xperia 10Ⅲの実力がどの程度あるかというのを確かめてみます。
基本的に数値としては25万点を超えるようになると普通の使い方なら体感での差は少なくなり、ゲームなど一部の重いアプリの挙動に差が見えるのみになってきます。
Ver9.0.8 | Xperia 10Ⅲ | Xperia Ace2 | Mi 10 Lite 5G | Redmi Note 10 Pro |
---|---|---|---|---|
総合スコア | 348707 | 114088 | 368621 | 346961 |
CPU | 111989 | 33836 | 111819 | 102094 |
GPU | 76482 | 19068 | 102832 | 93039 |
MEM | 65193 | 25394 | 70783 | 55252 |
UX | 95043 | 35790 | 83187 | 96576 |
ベンチマークスコアは予想外の高さを見せています。
Snapdragon 690 5Gで34万点というスコアを叩き出しており、このスコアだけを見れば満足度の高い性能を持っていると言えるでしょう。
ただよくスコアを見ていくと、GPUのスコアは高くなくてその他のスコアの合計値で総合スコアを押し上げているものになっています。
そのためですね、後述するゲーム動作の動画なんかを見てもらうと、スコアの印象よりはゲームの動きが悪いものになってしまっています。
ベンチスコア自体は立派ですが、結構内訳を見ておかないと性能について誤解してしまう内容であるのは確かです。
ゲーム動作に関する性能については3D Markのスコアの方がわかりやすいでしょうか。こちらは同じようなAntutuスコアを見せるSnapdragon 720G以上のスマホの方がスコアは良い傾向にあります。
ゲーミング性能
ゲーム動作に関しては上述している通りで、ベンチスコアの高さの割には重ためのゲームではパワー不足を如実に感じられてしまいます。
この部分を期待している方は挙動を示した動画を上げていてこの記事のレビュー部分で添付しているので、そちらをチェックしてもらえればと思います。
フォートナイト:Snapdragon 720Gのスマホと比べるとトータルでのベンチスコアは勝っているものの、こちらのゲームの動作を見ると3D処理性能に差があるのがわかります。
カクつきが頻繁に起きやすく、バトルロワイヤルゲームということを考えるとまともな成績を残すのは難しそうな挙動になっています。
原神:こちらはカクつきこそみられるものの、動作自体は全体的に許容範囲ではあります。Snapdragon 720G/732G/765Gの方が動作は良いものの、このXperia 10Ⅲも負けていません。
ただ長時間快適に遊びたいのであればもっとパワーがあった方が良いのは確かで、常時サクサク遊べるレベルには無い点は注意が必要です。
とりあえず妥協をしつつ遊べる、といったレベルです。
ツムツム:この辺りはないも問題はありません。非常に快適です。
ただし21:9のアスペクト比に最適化されていないため、画面の狭さといったところは覚悟する必要があります。
ゲーム向けの機能は用意されていません。Xperia 1ⅡやXperia 5Ⅱに用意されているようなゲームエンハンサーは使えません。
ゲームエンハンサーが使えないということは、ゲーム向けの通知制限やHSパワーコントロールといったXperia独自機能も利用できないものになっています。
他のメーカーのスマホだとエントリークラスでもゲーミング向けの機能を用意していることがありますが、Xperiaでは比較的性能が良くなった今回のようなミドルレンジでもゲーミング機能を省いているのは残念なところです。
バッテリー性能
テスト内容 | バッテリー状況 |
---|---|
AOD・アンビエント表示オン:スタンバイ状態で10時間 | ━ |
AOD表示オフ:スタンバイ状態で10時間 | 100%⇒92% |
明るさオートでYoutubeスポーツ2時間(720p) | 100%⇒92% |
フォートナイト、パーティーロイヤル1時間エモート |
100%⇒83% |
YouTube推移
(同時記録ではなくそれぞれ購入直後の推移。気温差などで同条件ではないものの、バッテリー劣化する前の結果として比較の参考にしてください。)
1時間 | 2時間 | 3時間 | 4時間 | 5時間 | |
Xperia 10Ⅲ | 96% | 92% | 87% | 83% | 78% |
Redmi 9T | 95% | 90% | 85% | 79% | 73% |
Rakuten Hand | 92% | 84% | 79% | 74% | 68% |
AQUOS sense4 lite | 98% | 95% | 92% | 89% | 85% |
Xperia AceⅡ | 92% | 85% | 77% | 69% | 60% |
iPhone SE | 89% | 76% | 63% | 50% | 26% |
Redmi Note 9T | 96% | 91% | 85% | 80% | 74% |
Redmi Note 9S | 96% | 92% | 88% | 82% | 76% |
Pixel 4a | 92% | 82% | 76% | 71% | 62% |
Mi 10 Lite 5G | 96% | 92% | 87% | 83% | 78% |
バッテリー性能に関して気になるところは待機状態の意外な持たなさでしょうか。
10%まではいかないものの、それぐらい減っているというのは最近の安定感が高いミドルレンジスマホの中でも悪い意味で目立つ内容です。
待機時の減り方が強めのため、充電を忘れてしまうと翌日からの利用に支障が出てしまう可能性があります。
その他の動画やゲームのなかでの減り方はそこまで気にならないため、実利用における安定感は高いものの、待機中の様子に関してはあまり褒められるものではなくなっています。
この辺りは他のミドルレンジモデルと比べても若干見劣りしてしまう部分になっています。
発熱
Antutu連続起動 | バッテリー温度 | CPU温度 |
---|---|---|
1回目 | 34.4℃ | 43.1℃ |
2回目 | 36℃ | 44.8℃ |
3回目 | 37.5℃ | 47.5℃ |
(同じ環境下:6月の気温(26℃ぐらい、エアコンありでの設定)で比較)
比較機種/同一環境下 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|---|
Xperia 10Ⅲ | 34.4℃/43.1℃ | 36℃/44.8℃ | 37.5℃/47.5℃ |
Xperia 10Ⅱ | 32.1℃/41.9℃ | 34.5℃/45.5℃ | 36.3℃/48.3℃ |
Redmi Note 10 Pro | 37.1℃/43.3℃ | 38.7℃/45.9℃ | 39.6℃/51.8℃ |
発熱に関しては可もなく不可もなくといったところでしょうか。
動画程度なら結構耐えますが、ゲームをしたら普通に熱はしっかりと帯びてしまいますし、マルチウィンドウで2つのアプリをアクティブにしていても結構な熱を持ってしまいます。
発熱によって性能面での影響は少ないのは体感として感じますが、バッテリーへの影響は感じるためにあまり発熱が続くような負荷をかけ続けるのは避けておきたいところです。
Xperia 10Ⅲカメラ性能
Xperia 10Ⅲ | |
広角 | 1200万画素 |
超広角 | 800万画素 |
望遠 | 800万画素 |
インカメラ | 800万画素 |
8K動画撮影対応 | ─ |
4K動画撮影対応 | 30fps |
フルHD(1080p)撮影モード対応 | 30fps/60fps |
夜景モード | ○ | スローモーション | ○ |
ポートレート | ○ | パノラマ | ○ |
プロモード | 〇 | Googleレンズ | ○ |
AI撮影切り替え | 自動 | ドキュメントスキャン | × |
マクロモード | × | ハイパーラプス | × |
AR対応 | × | 連写対応 | ○ |
※サイトサーバーの容量、読み込みの関係上写真ファイルは圧縮しています。オリジナルファイルとは異なる写真品質であるため、その点は理解した上で写真を見てもらえればと思います。
カメラ性能については比較的明るい場面では悪くない写真が撮れます。
白飛び耐性もある程度用意されているため、多少の逆光下でも綺麗な写真が撮れる印象があります。
発色もよさげで、Xperiaにありがちだった広角レンズと超広角レンズで色味が違う、というような問題もありません。
メシマズ感も解消されており、寒色が強かったり暖色が前面に出てるというような極端な調整も行われていません。
暗い場面では厳しい部分が目立ちます。
一応夜景モードを使うとノイズも少なめになって見栄えの良い写真は撮れますが、通常のモードではかなり粗くてノイズが激しい写真となり、撮影能力の低い写真になっています。
さらにカメラ自体の動作が暗い場面では特に重たく、ピントも合いづらい使いにくさを見せるため、単純に写真の厳しさだけでなく撮影すること自体が色々と難しいものになっています。
ピントが合うまで少し時間がかかるのと、夜景モードでの露光時間の長さの両方で1枚撮るのに時間がかかるため、写真の質含めてもう少ししっかりとした出来であってほしかったのが正直なところです。
また画面上部または下部の赤い色ムラというのが出てきており、これが個体のセンサー異常でなければ広角レンズ側の問題点として挙げられます。
特にこの問題はスマホ本体で画像を見たときに感じられやすいです。この辺りはレビュー動画に載せているので確認をしてみてください。
Xperia 10Ⅲレビュー
予想外に性能は良かった。ただしベンチスコアの高さの割にゲーミング性能は釣り合っていない
Xperia 10ⅢはSnapdragon 690 5Gという600番台のSoCの型番といったところから、性能面であまり高いものにはならないと思い込んでいたのですが、実際にはSnapdragon 720Gや732Gに近い実力を見せてくれる性能を持っており、予想外の使いやすさに驚きました。
Xperia 10Ⅱではプチフリ的な動作の引っ掛かりがホーム画面やスクロール中、文字入力のタイミングで起きることもあったのですが、Xperia 10Ⅲではそうしたことも起きずに常時快適度の高い操作を行えます。
普通のスマホ的な利用であれば、性能不足やストレスといったものをほぼ感じずに利用することができるスマホであるのは間違いありません。
ベンチスコア34万点という数値は伊達ではありません。
ただベンチスコアの内訳を見ていくとGPUのスコアが低めで、3DMarkのスコアなんかはSnapdragon 720Gなんかより一段低いものになっており、ベンチスコアの高さの割にはゲームには強くないというのは注意点です。
ベンチスコアを元にゲーム性能といったところを期待するユーザーもいるかと思いますが、細かいスコアに表れているようにAntutuの総合スコアを押し上げているのはGPU以外のポイントとなるため、ゲーミング性能自体はスコアの高さほどのものではありません。
添付してある動画にもあるように、特に高負荷なゲームにおいて700番台のSoCよりも明らかにパワー不足を感じられてしまいます。
ベンチスコアは高いのですが、その高さの割にゲーム周りがゴリゴリ動くというものにはなっていない点は、このスマホを選ぶ上で注意が必要になってきます。
21:9のアスペクト比のディスプレイは個性的で魅力
Xperia 10Ⅲの特徴はその21:9というディスプレイのアスペクト比が挙げられます。
こちらのディスプレイ比率に魅力を感じるか否かというのは、Xperia 10Ⅲが購入するスマホとして適しているか否かといったところに繋がります。
この21:9ディスプレイついて簡単にまとめると以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- Twitterやニュースサイトの縦スクロールサイトで情報量が多く表示される
- 大画面ながら縦長なので横幅が狭く、グリップ感があって持ちやすい
- 2画面表示をするときに2つのアプリの表示領域が共に余裕ある
デメリット
- 動画や一部ゲームのアスペクト比が決まったコンテンツは表示が小さくなる
- 胸ポケットなどには入らない
メリットの部分に魅力を感じ、デメリットの部分もある程度許容できるようならば、Xperiaは国内では唯一無二の特徴を持ったスマホとして面白い機種になってくれます。
この中では情報収集端末として便利、というところが一番の魅力になるでしょうか。
スマホ向けのWebコンテンツの表示と相性がよく、ニュースサイトなんかは他のスマホと比べても1画面に表示される情報が多く、より効率的にニュースや話題といったものを一目でとらえることができます。
スマホでニュースなどの情報を処理している人にとって、この画面の比率は仕事の効率が上がる可能性が高いです。
また2つのアプリを同時に表示する時もバランスが良く表示され、どちらのアプリも使いやすいものになります。
一方でデメリットとしては動画をよく見たりゲームをよくする場合に感じられます。
縦長の特殊な比率のため、アスペクト比の固定された動画やゲームでは黒い帯が発生してしまいます。
Youtube動画を見るとわかりやすいでしょう。
ほとんどが16:9というアスペクト比で投稿されている動画のため、21:9のXperiaで見ると6インチというディスプレイながら動画自体は同じ6インチスマホよりも小さい表示になってしまいます。
大画面で動画やゲームを楽しみたいという人には、21:9というディスプレイ比率はそれに適さないものになっているのは間違いなく、この点はデメリットとして挙げることができます。
他にもいくつか良い部分・悪い部分はあるものの、すでに過去の記事や動画で説明しているのでそちらを確認してもらいたいのですが、こうしたディスプレイの特徴といったところは没個性的になりがちな最近のスマホの中でもXperiaにしかない特徴として良くも悪くも評価することができます。
機能性の少なさは残念。ゲームエンハンサーやPhotoProなどが用意されていないのはあまりにも廉価モデルすぎる
Xperia 10Ⅲは魅力を伝えようと思った時に性能とそのディスプレイの特徴といったところがほとんどを占めてしまい、機能面での話題というのが特にありません。
Xperia 10Ⅱにも用意された
- サイドセンス:アプリ起動中でも呼び出せるショートカットランチャー
- マルチウィンドウ:2画面表示の切り替えが通常のアプリ履歴に近い挙動で行える
といった機能は引き継がれているものの、オリジナルの機能としてはそろそろインパクトが弱くなっており、新たに用意された機能も
- ポップアップウィンドウ:アプリを別のアプリの上にフローティング表示する機能
といったものしかないために、正直過去モデルからの目新しさといったものに乏しいです。
機能自体も多くないため、最近のXiaomiやOPPOのスマホのような低価格機でも豊富な機能性を持つ機種、といったものを見た後だと物足りなさを強く感じてしまいます。
ポップアップウィンドウ自体は優秀な機能ではあるのですが、これだけだと弱いのは確かです
ハイエンドモデルではゲームエンハンサーが用意され、その中で利用できるHSパワーコントロールやリフレッシュレートの変更機能、その他ゲーム向け機能といったものが利用できる中で、今回のXperia 10Ⅲにはゲームエンハンサーすら搭載されていませんし、
ハイエンド向けアプリなのはわかっているものの、PhotoProやCinemaProといった機能もないのは、あまりにも「廉価モデル扱い」をしすぎている印象があります。
この辺の「安いから機能少な目」な扱いというのは、中国メーカーのスマホを知った後だと物足りなさを強く感じるポイントです。
カメラの動作、マルチウィンドウ切り替え、暗いところでナビゲーションバーを下した後の画面の緑化といったところの挙動がちょっとおかしいのはネガティブな部分
今後恐らくアップデートなどによって改善していくと思いますが、使っていて感じた不具合的な挙動といったものも確認していきましょう。
まずカメラの動作が起動直後が重たく、ライブビューのフレームレートも低めです。
またこの動作に関連してオートフォーカスといったところも起動直後は遅く、ピントが不安定になっています。特に暗いところでの撮影をしようとするとその傾向が強いです。
そのためカメラを起動してすぐに撮影したい、という場面において使いづらさを強く感じます。
今後アップデートで修正できそうな挙動ではあるため、ここは改善して欲しいところです。
同じくカメラに関しては夜景、というよりも強い低照度下では撮影能力が低いのは既に見てもらった通りです。
こちらもピントが合うのが遅かったり挙動面で不安定さがみられる上、暗い場所での赤い色ムラが広角カメラにおいてみられるため、暗所撮影には弱いと言うしかありません。
またもう一つ不安定な挙動を見せるのがマルチウィンドウ機能を利用した時です。
まだこのスマホを利用してそこまでの時間が経過していませんが、このマルチウィンドウを使った際に
- 再起動:1回
- フリーズ:2回
- アプリフリーズ:1回
と結構不安定な挙動を見せました。
この機能はXperiaシリーズの縦長な21:9というアスペクト比を活かす機能となるわけですが、その挙動が不安定なのはちょっと気になる部分です。
どちらもアップデートで改善する可能性がある内容ですが、使っていて気になるポイントとして出てくる内容ではあります。
特にカメラの挙動周りは頻繁にカメラ利用するユーザーだとストレスを感じてくるところなので、アプデ改善などが為されるまでは購入を様子見しておいた方が良い部分です。
さらにディスプレイが暗所でおかしな表示になってしまう問題も発生しています。
暗い場所でナビゲーションバーを下した後にこの問題は起きやすいのですが、画面が緑色のモヤのような表示なってしまい、かなりひどいレベルの画質を見せています。
自分のモデル固有の問題かもしれないものの、もしも夜の車の中とかで使う場合には支障が出てしまう問題になっています。
今のところ「暗い中でナビゲーションバーを下したとき」に発生しやすく、トリガーになる暗さやキッカケというのは正式にはわかっていません。ただ暗いところで起きるのは間違いないために暗所でスマホ操作をする機会が多い人は注意してもらいたいです。
画像見てもらえばわかる通り、結構衝撃的な不具合かと思います。
このように操作への影響はそこまで大きくはないものの明らかな問題点というのがあるために、この点はXperia 10Ⅲを購入する前に注意してほしいポイントです。
可能であれば発売後のアプデ情報を確認し、カメラ周りなんかが改善されてから購入したほうが安心して買えるようになるでしょう。
価格を考えればXperiaの中でも現実的な選択肢になるはず。ただカメラの画質や不具合の状況は事前にチェックしておきたい
今回のXperia 10Ⅲは単純な性能といったところが良いために、それだけでもXperiaの中では買ってよいレベルには達しています。
ゲームをゴリゴリするには足りない部分も見えますが、普通の利用用途においてはXperia 10Ⅱでまだ残っていた微妙なモッサリ感というのも解消してきています。
そのため普段使いにおいてストレスがかなり軽減しており、日常用途中心であればしっかりとおすすめすることができます。
特に直近で発売されるXperiaは、性能がだいぶ抑えられたXperia AceⅡと15万円を超えるXperia 1Ⅲという極端なモデルに分かれているため、5万前後というこのXperia 10Ⅲはその買いやすさと今回の性能の良さといったところから多くのユーザーにとって現実的な選択肢として候補に入れていいかと思います。
過去のミドルレンジXperiaの中ではかなり万能性が高くなっているのは確かです。
しかしその一方で5万円という価格を考えると、いわゆる「コスパの悪さ」を感じられるのは間違いなく、そうした視点をスマホ選びにおいて重視していると厳しいです。
性能はよくはなりましたが、2万円台でSnapdragon 720G以上のSoCを搭載しているスマホも多くなってきた中で、微妙にゲーミング性能の劣るXperia 10Ⅲが5万円前後というのは単純に割高さを感じます。
Xperiaを選ぶ理由となると、デザイン面での優秀さや国内メーカーのスマホということ、21:9といったディスプレイに惹かれる、といった理由がないと中々納得しにくいものになってくる可能性があります。
この辺りは「自分がスマホに求めるもの」というものを改めて確認してから選ばないと、ちょっと色々と後から比較して思うところが出てくる可能性があります。
またもしも前向きにXperia 10Ⅲの購入を検討している方でも、アプデ情報や不具合修正情報を確認したうえでの購入をおすすめしたいです。
通常の動作・普段の操作に影響するような深刻な問題はないものの、カメラを頻繁に使うようならストレスは感じるレベルの動作になってますし、ディスプレイ周りの不具合やフリーズ系の不具合もやはり長く使っていくなら気になるレベルではあります。
特にディスプレイの不具合は夜間のカーナビ利用などに支障をきたしそうなので、利用方法やスマホを使う時間帯次第では深刻さが増してきます。
より快適に、不満なく使っていきたいということであれば、修正等がアナウンスされてからの購入をおすすめしたいです。
目立った不具合というものがあり、コストパフォーマンスといった視点においては優れたところは見せてくれませんが、それでもこれまでのミドルレンジXperiaの中では一定以上の満足度を見せる性能は持っているのは確かであり、重たすぎるゲームをしないレベルの通常操作においては納得のいくスマホではあります。
「コスパ」を求めると決して満足度は高くないものの、それ以外の「付加価値」といったところを重視する考え方・あるいは明確に「Xperiaが欲しい」ということなら、Xperia 10Ⅲは不具合も踏まえてもらったうえで前向きに検討してもいいレベルには達しています。
ただそれ以外だとコスパと不具合が・・・となるでしょう。
定価自体は5万円ほどするものの、ドコモ/au/Y!mobile各社キャンペーンによって実質4万円台後半ぐらいでオンラインショップからでも購入できるかと思われるため、それらの内容も確認してもらったうえで予約・契約を行ってみてください。
ドコモオンラインショップ:Xperia 10Ⅲ SO-52B