クラウドファンディングで興味を持ったFicihpというディスプレイ付きのキーボードを購入したのでそちらをレビューしていこうと思います。
こちらは元々Kickstarterでのクラウドファンディングが実施されていましたが、国内でもキャンプファイアでのクラウドファンディングが開始されており、今後はそちらでのクラファン購入というのが可能になっている製品です。
自分はこちらをスマホとの組み合わせ中心で利用しようと考えて購入したので、スマホでの使用感を中心にここではレビューをしていこうと思います。
キャンプファイア版のFicihpを購入してみようと考えている人向けに何か参考になれば幸いです。
PCとの接続については設定を問題は少ない、用途によっては使いやすさがあるかも
一応個人的に本命のスマホでの運用について触れる前に、PC運用時の様子といったところも確認をしておきましょう。
PCとの接続に関しては自分の環境ではUSB Type-Cケーブル接続で直接表示させることが出来ず、電源供給を含めたUSB2.0×2+HDMI複合ケーブルでの接続によってキーボードおよびディスプレイとしての認識が出来ました。
端子の少ないノートパソコンなんかでこちらの利用を行おうとすると対応ができない可能性があるので、そこは注意してください。デスクトップPCならばHDMI端子が通常ディスプレイ向けと含めて2つ以上あるPCが対応可能になってきます。
ケーブル接続後にディスプレイ設定は必要ではありますが、デュアルモニターを使ったことがある人なら大したハードルにもならないでしょう。ケーブル接続時は画面を共有するモードになっているかと思うので、そこを設定変更させて異なる画面を表示させるようにすればデュアルモニター的にキーボード側のディスプレイを操作することができます。
マニュアルも日本語で作成されているため、そこまで設定に詰まることはないかと思います。
実際の利用においてはキーボード側に何を表示させるか、で満足度が変わってきそうです。
正直PCだと手元に表示させるもの、というのが自分の場合ほとんどないためにPCでの使い道というのがあまり想像できていないのですが、まあショートカットにしたいソフトを置いておくといいでしょうか。
さすがに縦の長さが少ないため、WebブラウザやTwitterクライアントを置くのには不便なところがあります。
動画も小さく、文字多めの解説系動画は不向きでしょうか。
それでも使い方次第では面白いものになる可能性は高いため、人によっては満足度高めに利用できるはずです。
スマホとの接続は期待はずれ。現状ハイエンドHuaweiスマホ以外はフルスクリーンにならず
さて、自分が期待していたスマホとの連携についてを語っていきたいでのですが、これに関しては「期待はずれ」と言わざるをえません。
なぜ期待はずれかというと、現在自分がメインやサブで使っているスマホではFichipのフルスクリーン表示に対応したスマホがないからです。
- Galaxy Z Fold3
- Xperia 5Ⅱ
- LG Wing
- Mi 11 Lite 5G
- iPhone 11
といった普段割と頻度高めで使っている機種では良くて画面の半分の表示(Galaxy Z Fold3/LG Wing)、
スマホの画面そのままの表示(Xperia 5Ⅱ)、
そもそも映らない(Mi 11 Lite 5G/iPhone)
という対応状況になっており、想像してた使い方と異なるものになっています。
半分でも表示されればある程度の操作は出来ますが、解像度がデフォルトのままでは最適化されておらず荒いためにそのまま利用するのには向いていません。
しかもそうした半分の表示の状態で解像度設定などをある程度変えられるのはGalaxyのDexモードだけで、
LGのPCモードの方は半分表示されるものの画面のズーム表示などの設定が出来ないために字が小さいままで、解像度的に操作が厳しいものになり使えたものではありません。
Xperiaもミラーモードが縦画面のスマホ表示ということでもちろん使えたものではなく、多少の不満があるものの利用できるレベルにあるのは自分の最近の持ち歩きスマホだとGalaxyだけとなっています。
まずこの点が期待はずれと言えます。
一応キャンプファイア版の日本語説明を見てみると、確かに注意書きとして「ハイエンド向けの一部Huaweiスマホ以外はフルスクリーンにならない」と説明がされています。
キックスターター版を購入する際にこの注意書きがあったかはわかりませんが、これからキャンプファイアでのクラファン購入を予定している場合でスマホ運用を期待している、という人はこの注意書き通りの対応状況なのでHuaweiスマホを使ってない限りはこのFicihpを100%有効活用することは出来ないでしょう。
手持ちのMate30 Proで試してみるとしっかりとフルスクリーンになってくれるため、こちらでの利用であればかなり満足度の高い運用というのを出来るようになっていますが、最新モデルを買おうとするとGMS(Google関連サービス)が使えない・古い機種だとちょっと持ち歩き端末の中で見劣りする、というあまりHuaweiスマホを使いたいというモチベーションがないために、Huaweiスマホのみがフルスクリーン対応、というこのFicihpは使いづらすぎます。
(P30 LiteのようなHuaweiの低価格機モデルはPCモードを搭載していないため利用不可なのでご注意を。)
製品イメージ画像ではどんなスマホでもフルスクリーン化されるような印象ですが、「普通のスマホ」とは使い勝手の異なるHuaweiスマホのみがフルスクリーン化できる、ということだと話が違ってくるでしょう。
国内で主流のスマホではフルスクリーン化が出来ず、半分の画面しか表示されない、そしてその半分の表示でまともに解像度などの設定をいじれるのがGalaxyだけ、というのは「スマホ対応」をしているというにはあまりにも不十分過ぎます。
こちらはスマホ側の外部出力機能・PCモード機能に表示の具合を依存しているのはわかりますが、ここまで「非対応」機種が多いのであれば「スマホ対応」と謳うべきではないでしょう。
この対応状況の少なさはスマホでの利用を期待していた身には非常にがっかりさせられるものになっています。
スマホのバッテリー消費も激しく、出先で使うようなことが難しい
とは言ってもGalaxyならば画面半分にはなるものの設定をしっかり変えればEvernote中心にノート系のアプリは快適に利用できる為に、多少我慢をすればGalaxyユーザーならばなんとかなるところではあります。
ただそうした妥協をして使っていったとしても今度は消費電力の高さといったところに不満を感じます。
このFicihpは外部電源や内蔵電池が不要という簡単に使えるものになっているのですが、スマホ接続時の場合にはスマホ側からディスプレイ表示のための電力供給を受ける形になっており、スマホ側のバッテリーがモリモリ減っていってしまう問題があります。
Galaxy Z Fold3で1時間ほどこのFicihpでEvernoteで入力をしていたところ、消費したバッテリー量は約30%とかなりの量になっています。
ただでさえZ Fold3はバッテリー消費が高く満充電の状態からでも1日に1回軽く充電しないと夜まで持たない感じなのですが、そこにこのFicihpの使用量が加わってしまったら1日に2回3回と充電が必要になってくるレベルになります。
この消費電力の激しさといったところは出先での利用や、家の中でちょっと気軽に使いたいときに厳しさを強く感じます。
特に夜のちょっと暇な時間にPCをつけるまでもない作業をやりたいときに、1日の終わりでスマホのバッテリーが減ってて気軽にFicihpを繋げない、というのはストレスを感じました。ある程度スマホ側を充電しておかないとまとまった時間使えないというのはかなり心理的に煩わしさを感じます。
こちらもスマホ運用においては不満点と言えましょう。
現状PC向けのキーボードとなっており、スマホ中心に使うには不満や不便さを強く感じる
軽く使ってみた状態であっても現状のFicihpの出来には特にスマホとの接続において不満があります。
スマホとの接続が結構魅力的な画像がクラファンページにはあったわけですが、それがHuaweiのみでしかフルで発揮されないというのはかなりがっかりさせられるものがあります。
また仕様上仕方ないとはいえ、バッテリー消費が強いのも中々スマホで気軽に利用できない要因となっており、当初想定していた使い方にはあまり沿わないものになっているのは残念です。
自分の場合はこちらを3万円前後で買ったものと記憶していますが、これから国内クラファン版を5万円ほどで購入すると考えるとその価値があるかというと微妙すぎます。
実利用においてはPC向けのキーボードといった使い方がベストとなり、キーボードの上に画面があることで捗る使い方、といったものを見出せるようでないと価格相応の良さといったものを見せてはくれないでしょう。
画面も角度調整ができないために常に目線が下に向いて作業をする必要があるなど、かなり癖のあるガジェットではあるため、あまり軽い気持ちで買って楽しめる、という代物ではないのを感じます。
スマホ運用がもう少し使い勝手が良ければ評価は大きく変わるはずですが、現状の対応力では使い方がPCに限られて活用の幅が狭いのは確かです。
少なくともスマホで使おうと考えていた人にとって5万円の価値はまずないというのは覚悟してください。