毎月定期的に計測中のMVNO格安SIMの速度状況について、12月分を測ってみました。
新たに料金プランが発表されても大して話題にならないくらいに安いのが当たり前になってきたMVNO格安SIM。そんな料金を比較するよりも、毎日の使用感に影響する速度を比較してなるべくストレスの少ない回線を確認しておこうというのがこの比較の目的です。
過去の計測は以下から
過去の速度比較は以下より MVNO格安SIM,通信速度比較 11月編 MVNO格安SIM,通信速度比較 10月編 MVNO格安SIM,通信速度比較 9月編 格安SIM速度比較 8月編&5ヶ月分の速度結果から安定した回線品質のMVNOを考える MVNO格安SIM速度比較 7月編 |
計測環境
計測環境はこれまでと同じです。
いずれもCA(キャリアアグリゲーション)には未対応です。CA対応端末を利用した場合には格安SIMでも速度の改善が図れます。
計測スマートフォン | docomo:Galaxy J×3、 au:HTL22 SoftBank:Xperia Z3 |
---|---|
計測アプリ | Ookla Speedtest fussashi or ishikari or sumidaで開放している順 |
計測日時/場所 | 12月3日/東京都日野市 |
計測時間 | 12時25分〜、18時〜、22時〜の混雑時中心 |
計測SIM | IIJmio/ mineo-d/楽天モバイル/ FREETEL/WonderLink U-mobile/ぷららモバイルLTE/b-mobile/ UQ mobile/mineo-a docomo/au/SoftBank |
計測方法 | 同じ時間で3度速度計測後、次のSIMカードへ交換。 そのため正確に同時間で計測した結果ではなく、数分から数十分時間差のある計測結果になります。 同時間ではなく同時間帯での計測なので、比較という点では同条件ではありませんがご容赦下さい。 |
何度も書いていますが、計測する時間帯は輻輳しやすい混雑時を選んでいます。そのため特にお昼すぎや午前中の実際の速度よりも低い数字が出ているのでその点は注意して読み取って下さい。
実用性という点では問題ない参考数値になると思いますが、MVNOによっては見栄えの悪い速度が連発されています。
表が縦長になっているので数値は最後のまとめだけ見てもらえれば全比較が可能になっているので、面倒な方はそちらを。人気の高いMVNOはなるべく近いタイミングでの計測を心がけるようにしました。
補足:一部のMVNOに関する設定項目等について
BIGLOBE LTE・3G・・・「通信の最適化」オプションをオフにして計測
楽天モバイル・・・10月6日以降の契約に当てはまる「rmobile.jp」のAPNで計測。今回を最後に「vdm.jp」の旧APNを使った楽天モバイル回線の速度計測は終了
DMM mobile・・・新APN「dmm.com」へ切り替え中のため今月はお休み。11月までの結果は「vmobile.jp」のAPNで接続
3つの時間帯別評価
12:25~
12時MVNO速度 | 平均ダウンロード速度 | 平均ping値 |
---|---|---|
IIJmio | 0.64Mbps | 95 |
NifMo | 0.32Mbps | 105 |
UQ mobile | 1.59Mbps | 39 |
mineo(docomo) | 1.84Mbps | 81 |
楽天モバイル(旧) | 0.35Mbps | 46 |
WonderLink | 11.93Mbps | 70 |
FREETEL | 18.7Mbps | 41 |
楽天モバイル(新) | 1.32Mbps | 66 |
OCNモバイルOne | 1.2Mbps | 71 |
mineo(au) | 1.58Mbps | 84 |
BIGLOBE LTE・3G | 0.84Mbps | 49 |
b-mobile | 0.36Mbps | 146 |
U-mobile | 1.02Mbps | 28 |
ぷららモバイルLTE | 0.04Mbps | 167 |
UQ 無制限 | 0.48Mbps | 48 |
docomo | 33.57Mbps | 36 |
au | 14.50Mbps | 39 |
SoftBank | 36.26Mbps | 46 |
まず先日お伝えしたように、UQ mobileの劣化が確認できています。一時的な現象であることを願いましたが、UQコミュニケーションズに運営が変わったUQ mobileは、どうやらこれまでの特殊なMVNOから普通のMVNOとして市場で勝負していくようです。ある意味auの庇護が無くなったことで公平というか健全にはなりましたが、ユーザーにとっては残念すぎる方針転換が起きた模様です。
500kbpsのプランも11月から700kbps平均が500kbps平均に落ちだしてしまい、変化が入っているのが伺えます。
それでも比較的速度はあるほうです。かつての独走っぷりを体感しているともの足りませんが、1Mbps以上の速度があればこの時間帯は十分でしょう。ただあえておすすめするほどでもなくなりましたが。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2015/11/uqmobile-slow/”]
IIJmioは相変わらずです。0.4Mbpsの壁は超えていますが、他のMVNOで1Mbps以上を出す回線があるため目立たないでしょうか。単体で見れば改善はしていますが。
IIJmioをMVNE元にするDMM mobileについては現在APN変更に伴う解約手続き→新規契約の最中であるため計測していません。旧来のvmobile.jp回線ならほぼIIJmioの回線とリンクした速度状況でしたが、dmm.comのAPNだとまた速度が違うようですので、交換手続き中です。
dmm.comのAPNの速度結果などは他サイトさんで確認してください。
速度比較・スピードテストの記事一覧 | orefolder
DMM mobileの枠が空いたので、楽天モバイルでその分新旧APNを測っていますが、今のところ新APNのほうがマシな状況になっています。数日前に比べると新APNの回線も急落しているところが楽天モバイルクオリティを引き継いでいますが、新APNについてはもうしばらく見守ってみてからでしょう。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2015/11/rmobile-speed/”]
18:00~
18時MVNO速度 | 平均ダウンロード速度 | 平均ping値 |
---|---|---|
IIJmio | 1.99Mbps | 108 |
NifMo | 9.04Mbps | 49 |
UQ mobile | 14.86Mbps | 38 |
mineo(docomo) | 10.48Mbps | 54 |
楽天モバイル(旧) | 1.83Mbps | 57 |
WonderLink | 3.37Mbps | 51 |
FREETEL | 6.21Mbps | 39 |
楽天モバイル(新) | 4.44Mbps | 45 |
OCNモバイルOne | 2.61Mbps | 75 |
mineo(au) | 4.18Mbps | 98 |
BIGLOBE LTE・3G | 8.93Mbps | 35 |
b-mobile | 0.06Mbps | 1227 |
U-mobile | 2.89Mbps | 40 |
ぷららモバイルLTE | 0.12Mbps | 172 |
UQ 無制限 | 0.53Mbps | 38 |
docomo | 23.46Mbps | 33 |
au | 13.39Mbps | 68 |
SoftBank | 12.22Mbps | 41 |
ぷららモバイルLTE、U-mobile、b-mobileは一時期流行った無制限プランでの契約です。今ではほとんど話題に上がりませんがその理由も速度をみればわかるでしょう。U-mobileはそれでも速度は保っていますが、3日1~2GB規制が導入され実質的に制限ありプランですし、速度も安定しない回線なので使い勝手は悪いです。
ぷららモバイルLTEとb-mobileに至ってはスピードテストでほぼバグみたいな数字を出す品質状況となっていますので、もはやMVNOにおける無制限SIMの存在については期待してはいけないものになっています。
WonderLink Fプランもまだまだ高速な部類には入りますが、今回の18時台は落ちる結果になってしまいました。時間帯によって厳しい速度が出やすくなるようになったでしょうか。低速700kbpsということでユーザー受けもいいでしょうから、ここから注視したい回線です。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2015/08/wonderlink-f-700kbps/”]
22:00~
22時MVNO速度 | 平均ダウンロード速度 | 平均ping値 |
---|---|---|
IIJmio | 1.74Mbps | 96 |
NifMo | 9.76Mbps | 114 |
UQ mobile | 3.36Mbps | 68 |
mineo(docomo) | 16.41Mbps | 54 |
楽天モバイル(旧) | 1.61Mbps | 63 |
WonderLink | 8.94Mbps | 60 |
FREETEL | 8.21Mbps | 30 |
楽天モバイル(新) | 4.94Mbps | 42 |
OCNモバイルOne | 2.18Mbps | 67 |
mineo(au) | 4.26Mbps | 70 |
BIGLOBE LTE・3G | 1.48Mbps | 45 |
b-mobile | 0.18Mbps | 241 |
U-mobile | 0.56Mbps | 73 |
ぷららモバイルLTE | 0.09Mbps | 191 |
UQ 無制限 | 0.52Mbps | 55 |
docomo | 24.54Mbps | 34 |
au | 18.01Mbps | 41 |
SoftBank | 39.47Mbps | 45 |
OCNモバイルONEは相変わらず。人気SIMということで仕方ない気もしますが、4月以降目立った増強の効果が見られません。10GBプランも登場したことでますます回復は先のことになるでしょうか。goo SimSellerで端末とセットになったセールが始まっていますが、そうしたセット販売による端末安売り用SIMとしてしか今は価値がないでしょうか。
FREETELは爆速、mineoも安定感が凄いです。FREETELはちょっと運営元の姿勢が不安なのであまり大々的にはすすめていませんが、今使うならしばらくはこの速度を維持してくれそうなので安心できるMVNOの一つになりそうです。どの時間帯でも最低以上の速度を維持しています。
同じくmineoもお昼の時間帯以外は全体的に安定した速度を維持しています。8月~10月までに行われた無料回線キャンペーンでの利用者数増加に対しても、しっかり設備増強を行い対応しているのが伺えます。その姿勢はかなり信頼に足るものではないでしょうか。
NfiMoやBIGLOBE LTE・3Gは悪くない結果・良くない結果が混ざる形になったのでmineoやFREETELと比べると強みは無いでしょう。
MVNO格安SIM、12月の速度比較まとめ
ということでそれぞれの時間帯の平均速度をまとめてみました。
上位3つに入るMVNOは太字表記にして、赤・青・黒という色付けをしています。キャリアはノータッチです。
平均 ダウンロード速度 |
12時台 | 18時台 | 22時台 |
---|---|---|---|
容量制限SIM | |||
IIJmio | 0.64Mbps | 1.99Mbps | 1.74Mbps |
NifMo | 0.32Mbps | 9.04Mbps | 9.76Mbps |
楽天モバイル(旧) | 0.35Mbps | 1.83Mbps | 1.61Mbps |
OCN モバイルONE |
1.20Mbps | 2.61Mbps | 2.18Mbps |
楽天モバイル(新) | 1.32Mbps | 4.44Mbps | 4.94Mbps |
FREETEL | 18.70Mbps | 6.21Mbps | 8.21Mbps |
WonderLink | 11.93Mbps | 3.37Mbps | 8.94Mbps |
BIGLOBE LTE・3G |
0.84Mbps | 8.93Mbps | 1.48Mbps |
mineo(docomo) | 1.84Mbps | 10.48Mbps | 16.41Mbps |
au MVNO | |||
mineo(au) | 1.58Mbps | 4.18Mbps | 4.26Mbps |
UQ mobile | 1.59Mbps | 14.86Mbps | 3.36Mbps |
無制限プラン | |||
b-mobile | 0.36Mbps | 0.06Mbps | 0.18Mbps |
U-mobile | 1.02Mbps | 2.89Mbps | 0.56Mbps |
ぷらら モバイルLTE |
0.04Mbps | 0.12Mbps | 0.09Mbps |
UQ mobile | 0.53Mbps | 0.53Mbps | 0.52Mbps |
MNO | |||
docomo | 33.57Mbps | 23.46Mbps | 24.54Mbps |
au | 14.50Mbps | 13.39Mbps | 18.01Mbps |
SoftBank | 36.26Mbps | 12.22Mbps | 39.47Mbps |
※今回の計測は個人レベルでの調査になります。なので参考値程度に捉えておいてください。
無敵だったUQ mobileがついに並みのMVNOと同格まで落ちてしまっています。仕様や公平性、そして運営元になったUQコミュニケーションズの今までの実績を考えると、過去の全時間帯安定速度という傾向の復活は望めず、その他MVNO同様の昼遅くてその他の時間帯に速め、というMVNOとしてこれから運営されていくことでしょう。
無条件で選ぶべきMVNOの選択肢が消えてしまったため、今後のMVNO選びは難しくなってきそうです。速度を元にMVNO格安SIMを選ぶにしても、低速化を前提に如何に速いかよりも如何に低速化に早く対処してくれるかを見たほうがいいでしょう。
如何に早く低速化に対処してくれるかという点に関しては、IIJmioが割りと定期的に帯域増強の報告をしていますが、報告の割りには混雑時にその効果が現れているかというと、今月の計測含めて測定結果として感じられるほうが少ない状態です。
では他に直近で低速化への対処が早かったMVNOというと、10月~11月のFREETEL、そして9月~10月のmineoが当てはまるでしょうか。
会社としてのFREETELはあまり信用していないのが個人的な感想なのですが、少なくとも来年の9月頃までは毎月帯域の増設を行って速度状況を維持していくと宣言済みですから、しばらくは回線品質も安定してくれるでしょう。
同じくmineoも800円引きキャンペーン中に速度低下を起こしましたが、その後にしっかりと回復。0円や100円回線による輻輳を受けながらも今月の結果のような高速状態を維持するほどの設備増強をしています。
回線以外でも各種SIMの機能追加や動作・検証報告などで幅広くユーザーにとってメリットになる活動をしているため、長期的に見て回線品質の改善を継続的に期待できるMVNOとして見ることができるでしょう。個人的にはFREETELよりもmineoのほうが信頼や期待を寄せているMVNOだと思っています。
現状だとこの2種類が中長期の使用に耐えうる(可能性のある)格安SIMになるかと思われます。