MVNO格安SIMの速度調査、2016年5月編です。
月額料金の安さが比較しようがしまいがどちらにしても安い格安SIMにおいて、重要な要素は安さではなく速度などの使いやすさであるとして通信速度を毎回計ってきました。
今回も5月の定点観測となります。過去分は以下より。
3月に発覚した一部MVNOのスピードテストブースト(のようなもの)の影響でスピードテストアプリやサイトの数値がほとんど参考にならないことがわかったので、以降計測方法を変えています。
検証方法の正確性という意味でどれだけ変更後の方法が有用かはわかりませんが、少なくとも従来のスピードテストアプリやサイトに頼ったやり方よりは実効速度というものを表しているかと思いますので参考にしてみて下さい。
検証方法
検証端末等 | ドコモ系:モバイルWi-FiルーターL-01G au系:Galaxy S5 SCL23のUSBテザリング TCP Monitor Plus |
---|---|
検証時間 | 12時25分~ 16時~ 21時~ 2つの混雑して回線が輻輳する時間帯と1つの空いている時間帯を選んでいます。 |
スピードテストの速度検証 | speedtest.net |
画像のDL速度検証 | 通信の最適化を確認するやつ |
動画の速度検証 | youtube 720P |
計測日は連休に挟まれた5月2日となるため、若干平日の速度の参考値としてはズレが生じるかもしれませんが、スピテスブースト込みでの観測を重視しているためご了承ください。
TCPモニターの見方
TCPモニターは右から左へとパケットの流れる向きを記録しています。そのため今回各画像の右側が測定開始のタイミングになり、そこから左へ進むごとに時間ごとのパケット通信量の推移を確認できます。
一部のMVNOはバーストしており山が大きくなっているので、そっち側が記録開始地点としてわかりやすいかもしれません。
一応記録開始からのグラフには全回線なっていますが、キャプチャーのタイミングで開始点が若干ずれているものがあるのでご了承下さい。
複数の結果が連なっている画像は左からスピードテスト/画像/動画の検証結果になっており、上から12時台/16時台/21時台となっています。
楽天モバイルについて:新新APNを追加
楽天モバイルについては今回2種類のAPNを計測対象に加えています。
楽天モバイルでは3月の終わり頃に契約した回線から、また新たなAPNとして「rmobile.co」というのが生まれており、これまで新APNとして紹介してきた「rmobile.jp」は新規契約できなくなりました。
これから契約するユーザーは「rmobile.co」の新新APNとなるため、楽天モバイルの契約を検討している方は「.co」のAPNの数値を参考にしてください。
楽天モバイルの「.jp」APNの計測は今回で最後の予定となります。
FREETEL
この計測方法だと特にFREETELと楽天モバイルのスピードテストの結果と実際の画像/動画ダウンロード速度に違いが表れるので、まずはこの2つから細かいところを。
FREETELですが今月もスピードテストアプリと画像のダウンロード速度などが大きくかけ離れた数字を出しています。
ただこの3ヶ月の間の調査結果を見てみるとFREETELに関しては明らかに画像や動画の実効速度とスピードテストの速度に違いはあるものの、単純な実効速度だけをみればそこまで悪くない数字が出ています。
今月の結果だと12時台の速度は先月先々月同様にスピードテストとはかけ離れた数字ではありますが、それでも1Mbpsほどの良い数字が見えています。12時後半の時間帯でこれなら速度自体は問題がないどころか良い部類に入るでしょう。
動画の速度も一応記録していますが、実用では格安SIMで動画を見る場面というのも少ないでしょうから、この画像DL速度ぐらい出ていればそれほど不自由なく使える回線になるのではないでしょうか。
一応毎月2回行われている「増速マラソン」の効果はスピードテストのみならず実効速度でも効果を発揮しているようです。またお昼や夜間以外ではスピードテスト以外でもしっかりスピードが出るようにフィルターは外されているのは今月も同じようです。
しかし速度自体は良いものスピードテストに最適化されたチューニングに対して不信感を抱く方も多いでしょうから、その部分が気になるようならば選択肢には入らないでしょう。「速度を重視する」という宣言からのこの規制の仕方ですので、長期的に見て果たして契約に値するかという点には一定の疑問があります。
楽天モバイル
検証するごとに不満が溜まっていくのが楽天モバイルです。
今月からは新新APNと揶揄されている「rmobile.co」を調査に加えていて、同じ楽天モバイルなのに異なる回線状況を見せる2つの回線をチェックしています。
楽天モバイルは検証してみるとかなりスピードテストの結果と画像/動画DLの速度が異なることが分かっています。昼や夜のみならず夕方にも速度の違いが伺えるため、FREETELよりも強く画像ファイルなどに規制をかけた上で、https以外かつ1MB以下のファイルだと圧縮もかけるという規制のオンパレードをしています。
新APNだった「rmobile.jp」の時がこの状況で、これが新新APNで変化が起こるかと淡い期待も抱いていましたが、APNが変わっても強い規制を見せる性質は変わっていませんでした。
昼頃と夜間の画像ダウンロードに対する低速具合はスピードテストの結果を参考に契約した場合に、速度への期待値とのあまりにも異なる低速に後悔させられる内容になっているかと思います(一応「.co」のほうが動画はスムーズに流れますが)。
そもそも何故にここまで頻繁にAPNを変えるのかもよくわかりません。SIMフリースマホにプリインされている楽天モバイルのAPNで接続できない方も出てきて困るのではないでしょうか。キャリア志向の運営をしているのは感じますが、そのキャリアの見本が2014年頃までのSoftBankの悪いところを参考にしすぎていて間違った方向に向かっているのを強く感じます。
ここまでスピテスが参考にならない回線も珍しいですが楽天モバイルを契約する際にはご注意を。
通話定額・かけ放題が出来るMVNOとして選ぼうと思っていた方はY!mobileやガラケーのりかえ割などを運用したほうがマシになるかと思います。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2016/04/garamnp-2dai/”]
その他
FREETELと楽天モバイルの注意点を除けば他は割と普通の速度計測と同じです。
一応スピードテストとあまり結果が離れない回線としてはIIJ系のMVNOが全般的に当てはまります。
ただしスピードテストの数字をある程度信頼出来る事業者ではあるものの、肝心の速度についてはMVNO全般の中でもそれほど速いものではないために、評価としては難しいものになります。
速度がよくなればごまかさないということで評価も出来ますが、現状は将来性に期待を多めに見た上での契約が良いでしょう。信頼できるMVNOの一つではあるものの、速度比較という点においてはものたりなさを感じます。
一部時間帯(特に昼)に画像ファイルの通信速度が気になる落ち方をしているものの、計測時間帯全般で良さげな数字を見せていたのはmineoとNifMoです。こちら2つはdocomo系の中では先月同様に実効速度が好調です。
安定した速度グラフではないものの、これだけの速度が各時間帯で出せるなら今回の比較の中では合格でしょう。
Wonderlink Fシリーズは夜間に回線全体で規制をしているのでしょうか?割と昼の実効速度なんかを見ても唯一に近いほどの高速さを見せていますが、夜間はここ最近明らかな低下がありちょっと特殊な輻輳状況のようです。1GBと7GBのプラン両方で1年縛りが撤廃されて契約のしやすさが生まれましたが、夜間はちょっと気になります。
他にdocomo系で特筆すべきものとしてはU-mobileがTwitter上でスピードテストブーストをしていないと宣言している点でしょうか。勝手にしているもんだというイメージがあったのでちょっとこの宣言及び結果は予想外です。無制限プランでもちょうど帯域増強のタイミングに当たったことで今月の結果は優秀ですが、これがこれまで継続してこなかったところが問題でしょうか。
MVNO事業者のスピードテストブースト(アプリ計測時の速度調整)が囁かれておりますが、当社サービスどうなのかと疑心暗鬼で社内で確認したところ・・(;’∀’)
安心してください。弊社はアプリ計測時のみ速度調整を行うなどやっておりません!
潔白です(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾— U-mobile【公式】 (@Umobile_jp) 2016年4月4日
au系では今回もmineo及びUQ mobileの結果が良いです。UQ mobileについては検証がスマホアプリによるものになっており正確性を欠きますが、12時台の画像読み込み以外はスピードテストに近い快適な速度を記録しているので問題はなさそうです。12時台だとキャプチャ画像よりも遅い250kbps前後の数字に頻繁に落ち、安定感はありません。mineoのaプランも同じく12時台の実効速度では遅くなっておりやはりこの時間帯は鬼門です。ただいずれにせよどちらも通常の利用には問題なさそうな実効速度を示しているので、KDDI系のMVNOは狙い目かもしれません。
まとめ
ということで5月分の速度計測をしてみました。今月もスピードテストアプリの数字よりも画像や動画のダウンロード速度を重視した内容にしています。
スピードテストの結果が信用できなさそうなMVNOが増えているためしばらくはこの形式で。3つの通信速度を残していますが、特に普段使うのに参考になりそうなのは画像のダウンロード速度かと思われます。
以下には今回の結果から出した表を。正確な通信速度の平均値は出せないため数字は目視での平均値を目安として出しています。
TCPモニターのグラフ上で一定の規制が強く確認できるものは黄色や赤色の背景にしています。
実効速度が2Mbpsを超える結果は太字に。今回は時間帯によるもののmineo、NifMo、UQ mobile、WonderLink F、FREETELが目立って良いでしょうか。
MVNO | 時間帯 | スピテス | 画像 | 動画 |
---|---|---|---|---|
IIJmio | 12時 | 0.50Mbps | 0.4Mbps | 0.48Mbps |
16時 | 13.8Mbps | 13Mbps | 10Mbps | |
21時 | 2.4Mbps | 1.4Mbps | 2.0Mbps | |
DMM mobile | 12時 | 0.45Mbps | 0.38Mbps | 0.45Mbps |
16時 | 12.8Mbps | 13Mbps | 10Mbps | |
21時 | 3.5Mbps | 1.5Mbps | 2.5Mbps | |
イオンモバイル | 12時 | 0.65Mbps | 0.4Mbps | 0.4Mbps |
16時 | 9.60Mbps | 14Mbps | 10Mbps | |
21時 | 2.0Mbps | 2.7Mbps | 1.6Mbps | |
mineo-d | 12時 | 0.8Mbps | 0.45Mbps | 0.8Mbps |
16時 | 12Mbps | 13Mbps | 10Mbps | |
21時 | 14Mbps | 5.0Mbps | 8.5Mbps | |
mineo-a | 12時 | 2.4Mbps | 0.4Mbps | 0.8Mbps |
16時 | 20Mbps | 20Mbps | 10Mbps | |
21時 | 7Mbps | 8Mbps | 3.0Mbps | |
NifMo | 12時 | 1.5Mbps | 0.4Mbps | 1.3Mbps |
16時 | 13Mbps | 12Mbps | 10Mbps | |
21時 | 21Mbps | 18Mbps | 9Mbps | |
UQ mobile | 12時 | 1.2Mbps | 1.4Mbps | 0.7Mbps |
16時 | 5.9Mbps | 5.1Mbps | 7.4Mbps | |
21時 | 7.8Mbps | 4.8Mbps | 6.3Mbps | |
FREETEL | 12時 | 13Mbps | 0.7Mbps | 2.5Mbps |
16時 | 13Mbps | 11Mbps | 9.5Mbps | |
21時 | 11Mbps | 3.0Mbps | 7.5Mbps | |
楽天モバイル(jp) | 12時 | 4Mbps | 0.05Mbps | 0.6Mbps |
16時 | 8.8Mbps | 0.5Mbps | 0.55Mbps | |
21時 | 10Mbps | 0.2Mbps | 0.45Mbps | |
楽天モバイル(co) | 12時 | 6.4Mbps | 0.45Mbps | 2.7Mbps |
16時 | 17Mbps | 0.55Mbps | 9Mbps | |
21時 | 11Mbps | 0.55Mbps | 9Mbps | |
OCNモバイルONE | 12時 | 0.7Mbps | 0.15Mbps | 0.7Mbps |
16時 | 5.5Mbps | 1.2Mbps | 2.5Mbps | |
21時 | 2Mbps | 0.4Mbps | 0.85Mbps | |
BIGLOBE LTE・3G | 12時 | 0.67Mbps | 0.50Mbps | 0.38Mbps |
16時 | 13Mbps | 13Mbps | 0.75Mbps | |
21時 | 1.1Mbps | 1.0Mbps | 0.7Mbps | |
b-mobile高速定額 | 12時 | 0.48Mbps | 0.38Mbps | 0.4Mbps |
16時 | 0.24Mbps | 0.38Mbps | 0.4Mbps | |
21時 | 0.12Mbps | 0.55Mbps | 0.21Mbps | |
U-mobileLTE使い放題 | 12時 | 9.6Mbps | 7Mbps | 6.5Mbps |
16時 | 6.9Mbps | 3Mbps | 7Mbps | |
21時 | 1.1Mbps | 0.3Mbps | 1.3Mbps | |
WonderLink F | 12時 | 8Mbps | 4Mbps | 4Mbps |
16時 | 13Mbps | 9Mbps | 10Mbps | |
21時 | 0.9Mbps | 0.25Mbps | 1Mbps |
今月も楽天モバイル及びFREETELがスピードテストと大きな差の付く結果を見せています。そのためこれらのMVNOの速度が良いという話があっても参考にはならないでしょう。
ただFREETELについては一応楽天モバイルほど酷くはなく、実効速度は一定のレベル以上にはあるために使いやすさではそこまで悪くないかもしれません。0円キャンペーンや1GB無料キャンペーンなんかもありますので、そうしたタイミングで契約するのならば一つの候補になるでしょう。
ただ信頼性という意味では疑問が残るMVNOにはなります。
速度を(あまり)誤魔化さないという信頼性をベースにするならば、先月と同じ結論にはなってしまうもののIIJ系列のMVNOやmineoといったところが候補に挙げられます。
ユーザーからの意見に逃げない場を設けている、これまでも常に速度問題に対して増強・増設などの気を配り報告もしている、という割とユーザー寄りの姿勢が目立つMVNOとなっており、極端な速度低下を他社MVNOよりも心配しなくて良い格安SIMです。
IIJ系の昼夜の通信速度、mineoの一部時間帯におけるスピードテスト表記との違いは気になるものの、楽天モバイルのような酷さはなく中長期の視点で考えればこの2社は長く使うことに適した回線でしょう。ここ最近の速度や機能/サービスの拡充具合を見るとmineoが優先になるでしょうか。
信頼性ではこの2社ほどではないものの、速度の良さを見せていて契約に良さそうなdocomo網を使ったMVNOとしてNifMoも候補に入るでしょう。
NifMoはキャッシュバック系の施策が復活し、契約のしやすさも考えると始めやすい存在です。3日間の通信量が決まっているため、短期間での利用データ容量が多くなるような使い方をする人には不向きというデメリットもありますが、そこが問題なければ格安スマホの入門編としても良さげです。
⇒NifMo
KDDI網のau系MVNOだとUQ mobileもmineoも割とどちらでも良いでしょう。3GBで収まるならUQ mobileを、それ以上のデータ容量だとmineoを選べば支障はないかと思います。mineoは速度状況が頻繁に変化するデメリットはありますが、都度増強を施して回復しているので心配はいらないでしょう。
大体勧める/選ぶべきMVNOというのは固定されてきていますが、よほどの変化がない限りはこれらのMVNOを選べばそこまで後悔することが少なくなるでしょう。
MVNO格安SIM選びの参考にしてみて下さい。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/mvno/mineo/”]
いつもこの記事を参考にさせていただいております。
当方の選択した業者は、DTIとSO-NET 0SIM を選びました。
なんといっても支払額無料というのは、何にも代えがたく。
そこでお願いなのですが、安かろう悪かろうなのか?
それなりに使えるのか。DTIとSO-NET 0SIMも、スピードチェックの
対象に入れて戴けたら幸いです。
以上、ご検討の程よろしくお願いいたします。
DTIや0SIMは入れようかと思っているのですが、ちょっとこれ以上検証SIMが増えると特に12時台の計測がタイムアップになってしまうので正直難しいです。
どちらかというと品質よりも完全に安さ重視のSIMなので需要もあるのか疑問なところなので・・・。
ちょうどDTIなんかはorefolderさんなどの他のサイトさんが計測してくれているんで、そちらに個人的には任せてしまっています。
http://www.orefolder.net/blog/2016/05/speedtest-201605-1/
早速のご回答とご紹介有難うございました。
freetelのスピードブーストの件からスマホ辞典をよくみさせていただいております。
そこで質問なのですがBNRスピードテストの画像読み込み版でも速度計測に関して画像最適化によってブーストは行われているのでしょうか。
私は北海道住みでデータ通信で動画は見ないので記事の実効速度を参考にしてfreetelにしました。
3月にBNRとドコモで楽天とFREETELを計ってみた時に、特に楽天モバイルが速度が出ていたような記憶があります。
ただこれは3月の結果なので、スピテスブーストが騒がれてからの実験を近日中に行ってみて報告したいと思います。
コメントありがとうございました。
返信ありがとうございます。記事をまた見に来ます。
遅くなってすいません。
今日のお昼に各スピードテストアプリ(RBB,docomo,speedtest.net,BNR)と画像の実効速度についてFREETEL回線で計測してみましたが、どれもスピードテストアプリのほうが何倍も速い結果になりました。
BNRの画像テストでも同様です。ただBNRのBIGLOBEサーバーの画像テストだけは、このサイトで計測しているやり方で出た速度に近い結果(1Mbps)を示していたので、スピードテストをする時はそちらの結果を参照すると良いかもしれません。
返答ありがとうございます。返事が遅くなって申し訳ありません。
BNRの件について対応していただき感謝しております。
やはりスピードテストの計測方法は鵜呑みにできないようですね。
ありがとうございました。