今月のMVNO速度計測をすっかり忘れていましたが、この2月でMVNO格安SIMの速度を計測し始めてから1年が経ちました。1年も同じようなことをしているとある程度各MVNOの態度や姿勢というのが見えてきたでしょうか。
そうした中で見えてきたMVNOの傾向というものをまとめようと思ったのですが、どうも3月以降からドコモの接続料の変更という大きな動きがあるようで、このタイミングでMVNO全体に大きな動きが入りそうです。なのでまとめはそのタイミングまで様子見、今回もいつもと変わらない速度の定点観測になります。
過去の計測は以下から
過去の速度比較は以下より MVNO格安SIM,通信速度比較 2016年1月編 MVNO格安SIM,通信速度比較 12月編 MVNO格安SIM,通信速度比較 11月編 MVNO格安SIM,通信速度比較 10月編 MVNO格安SIM,通信速度比較 9月編 |
計測環境
計測環境はこれまでと同じです。
いずれもCA(キャリアアグリゲーション)には未対応です。CA対応端末を利用した場合には格安SIMでも速度の改善が見られます。
計測スマートフォン | docomo:Galaxy J×3、 au:HTL22 SoftBank:Xperia Z3 |
---|---|
計測アプリ | Ookla Speedtest sumida or fussashiで開放している順 |
計測日時/場所 | 2月12日/東京都日野市 |
計測時間 | 12時25分〜、18時〜、22時〜の混雑時中心 |
計測SIM | IIJmio/DMM mobile/OCNモバイルONE/NifMo/BIGLOBE LTE・3G/ mineo-d/楽天モバイル/ FREETEL/WonderLink U-mobile/ぷららモバイルLTE/b-mobile/ UQ mobile/mineo-a docomo/au/SoftBank |
計測方法 | 同じ時間で3度速度計測後、次のSIMカードへ交換。 そのため正確に同時間で計測した結果ではなく、数分から数十分時間差のある計測結果になります。 同時間ではなく同時間帯での計測なので、比較という点では同条件ではありませんがご容赦下さい。 |
何度も書いていますが、計測する時間帯は輻輳しやすい混雑時を選んでいます。そのため特にお昼すぎや午前中の実際の速度よりも低い数字が出ているのでその点は注意して読み取って下さい。
実用性という点では問題ない参考数値になると思いますが、MVNOによっては見栄えの悪い速度が連発されています。
表が縦長になっているので数値は最後のまとめだけ見てもらえれば全比較が可能になっているので、面倒な方はそちらを。人気の高いMVNOはなるべく近いタイミングでの計測を心がけるようにしました。
補足:一部のMVNOに関する設定項目等についてBIGLOBE LTE・3G・・・「通信の最適化」オプションをオフにして計測 楽天モバイル・・・10月6日以降の契約に当てはまる「rmobile.jp」のAPNで計測。「vdm.jp」の旧APNを使った楽天モバイル回線の速度計測は終了 DMM mobile・・・新APN「dmm.com」へ切り替え。 |
3つの時間帯別評価
12:25~
12時MVNO速度 | 平均ダウンロード速度 |
---|---|
IIJmio | 0.47~0.54Mbps |
NifMo | 1.45~2.06Mbps |
UQ mobile | 2.95~3.56Mbps |
mineo(docomo) | 0.60~0.86Mbps |
DMM mobile | 0.48~0.56Mbps |
WonderLink | 7.34~10.17Mbps |
FREETEL | 5.13~14.16Mbps |
楽天モバイル(新) | 1.55~2.73Mbps |
OCNモバイルOne | 0.69~1.25Mbps |
mineo(au) | 0.61~1.03Mbps |
BIGLOBE LTE・3G | 0.58~0.75Mbps |
b-mobile | 0.13~0.27Mbps |
U-mobile | 1.60~1.82Mbps |
ぷららモバイルLTE | 0.00~0.22Mbps |
UQ 無制限 | 0.47~0.49Mbps |
docomo | 28.93~34.82Mbps |
au | 22.05~42.82Mbps |
SoftBank | 17.56~27.29Mbps |
まずIIJmioやDMM mobileはいつもの速度と一緒です。一時帯域が増えて余裕のある回線状況になりましたが、それもつかの間といった感じで1年近く同じような速度を全時間帯通して見せています。
13時に入ると途端に20Mbps近い速度を記録するなど、混雑時を過ぎれば帯域が十分にあるという実力を感じられるのですが、人が多い時間帯は毎月今回のような結果になってしまっています。
同じく全体を通して低調なのはOCNモバイルONEです。4月に一度絶好調な瞬間がありましたが、以降はほぼどの時間帯も2Mbps前後の速度にされています。混雑時を過ぎれば速くなるIIJグループとは違って、平時ですらあまり変化がなく、過去の状況を見るにこの速度感がOCN内では適正とされているようで改善も望めなくなっています。
人気が高くユーザーも多数抱えている大手のMVNOとなると、速度改善にも限界が出てくるようです。
18:00~
18時MVNO速度 | 平均ダウンロード速度 |
---|---|
IIJmio | 2.10~2.46Mbps |
NifMo | 6.52~24.05Mbps |
UQ mobile | 14.14~16.26Mbps |
mineo(docomo) | 2.05~3.84Mbps |
DMM mobile | 3.82~4.60Mbps |
WonderLink | 8.28~10.93Mbps |
FREETEL | 7.13~7.97Mbps |
楽天モバイル(新) | 6.41~6.98Mbps |
OCNモバイルOne | 1.32~1.86Mbps |
mineo(au) | 1.82~2.60Mbps |
BIGLOBE LTE・3G | 0.61~0.72Mbps |
b-mobile | 0.40~0.46Mbps |
U-mobile | 1.14~1.52Mbps |
ぷららモバイルLTE | 0.05~0.18Mbps |
UQ 無制限 | 0.50~0.53Mbps |
docomo | 13.29~17.50Mbps |
au | 19.49~30.38Mbps |
SoftBank | 22.73~27.72Mbps |
これまでおすすめのMVNOの筆頭に挙げていたmineoの速度が落ちています。IIJmioと同じような速度の変遷を迎えており、今後が気になる速度傾向になっています。
ブログ内では一応次の接続料変更時に設備増強を匂わせていますが、速度改善についての具体的なスケジュールなどはまだ特に発表されていません。
※追記:やはりmineo、ちゃんとユーザー側に現状と今後の改善スケジュールを発表しました。今月は2週にかけて速度改善を計るようです。
この状況をフォローするとしたら、mineoは過去のキャンペーン間の多重が発生している関係で消費されるデータ容量が多いのかもしれません。
同じくキャンペーン中のBIGLOBE LTE・3Gも速度は低下ぎみです。最近本気度を高めてきたBIGLOBEですが、相変わらずすぐにヘタってしまうのは変わりません。また1ヶ月前後で対応するようならばあえて騒ぎ立てるほどではないかもしれませんが、特におすすめする理由もない回線となってしまっています。
22:00~
22時MVNO速度 | 平均ダウンロード速度 |
---|---|
IIJmio | 2.87~3.84Mbps |
NifMo | 6.98~10.66Mbps |
UQ mobile | 13.69~14.75Mbps |
mineo(docomo) | 3.38~3.66Mbps |
DMM mobile | 5.49~7.97Mbps |
WonderLink | 1.71~4.19Mbps |
FREETEL | 5.71~19.41Mbps |
楽天モバイル(新) | 4.73~8.56Mbps |
OCNモバイルOne | 2.80~3.32Mbps |
mineo(au) | 4.76~9.52Mbps |
BIGLOBE LTE・3G | 0.76~1.038Mbps |
b-mobile | 0.43~0.51Mbps |
U-mobile | 0.73~0.88Mbps |
ぷららモバイルLTE | 0.16~0.24Mbps |
UQ 無制限 | 0.49~0.60Mbps |
docomo | 13.99~17.87Mbps |
au | 11.25~31.44Mbps |
SoftBank | 20.56~32.37Mbps |
この時間帯までしっかりとした速度を保っているのはdocomo系だとFREETEL、KDDI系だとUQ mobileという結果になっています。この2社は今月の結果はもちろん過去の結果も良好であり、速度で選ぶにはベストなMVNOの選択肢になるでしょう。
他で目を引くのはNifMoが復活しているというところでしょうか。最近メディアに出る回数は大きく減っていますが、再びスマホセットでキャッシュバックなどが始まればまた評価できるSIMになるでしょう。
また楽天モバイルも決して悪い結果ではありません。むしろ新APNになってからは速度的にもサービス的にも推しやすいMVNOになっています。あえてトップに据えるほどではありませんが、ポイント連携やスマホの値引きなんかに魅力を感じる方は楽天モバイルでもよいかもしれません。
Wonderlink Fシリーズはこの時間で低下。無制限SIMとしても計算できる回線でもあるため、あまり影響はないかもしれませんが、人が増えているということでもあるため、700kbpsの規制速度にも今後影響があるかもしれません。
無制限プラン3つはU-mobileを除いて実用性皆無な内容に。今やさっぱり話題にされない回線なので、まぁその評判通りな結果になっています。
MVNO格安SIM、2月の速度比較まとめ
ということでそれぞれの時間帯の平均速度をまとめてみました。
上位3つに入るMVNOは太字表記にして、赤・青・黒という色付けをしています。キャリアはノータッチです。
平均 ダウンロード速度 |
12時台 | 18時台 | 22時台 |
---|---|---|---|
容量制限SIM | |||
IIJmio | 0.50Mbps | 2.25Mbps | 3.21Mbps |
NifMo | 1.76Mbps | 16.85Mbps | 9.12Mbps |
DMM mobile | 0.51Mbps | 4.11Mbps | 6.41Mbps |
OCN モバイルONE |
0.96Mbps | 1.64Mbps | 3.01Mbps |
楽天モバイル(新) | 2.07Mbps | 6.60Mbps | 6.01Mbps |
FREETEL | 9.53Mbps | 7.51Mbps | 10.41Mbps |
WonderLink | 8.65Mbps | 9.32Mbps | 2.73Mbps |
BIGLOBE LTE・3G |
0.67Mbps | 0.66Mbps | 0.94Mbps |
mineo(docomo) | 0.75Mbps | 2.99Mbps | 3.51Mbps |
au MVNO | |||
mineo(au) | 0.80Mbps | 2.20Mbps | 6.47Mbps |
UQ mobile | 3.28Mbps | 14.93Mbps | 14.19Mbps |
無制限プラン | |||
b-mobile | 0.18Mbps | 0.44Mbps | 0.46Mbps |
U-mobile | 1.70Mbps | 1.30Mbps | 0.78Mbps |
ぷらら モバイルLTE |
0.11Mbps | 0.12Mbps | 0.19Mbps |
UQ mobile | 0.48Mbps | 0.51Mbps | 0.54Mbps |
MNO | |||
docomo | 31.44Mbps | 15.54Mbps | 16.10Mbps |
au | 35.24Mbps | 25.04Mbps | 22.67Mbps |
SoftBank | 21.34Mbps | 25.51Mbps | 28.74Mbps |
※今回の計測は個人レベルでの調査になります。なので参考値程度に捉えておいてください。
これまでのMVNO格安SIMの速度計測をしていく中で、MVNOの選び方というものに2通りの選択があるように感じてきました。
一つは長く使うことを前提に機能やサービス、それにMVNOの姿勢などをしっかりチェックして信頼できる格安SIMを選ぶという方法。
もう一つは完全にMVNO回線は消耗品だと割り切って3,000円の事務手数料を払ってでも快適な回線へと移動し続けるという選び方です。
選び方というか使い方といったほうが正しいでしょうが、この使い方によって選ぶMVNO格安SIMというのは変わってくると思います。
速度を重視して消耗品的に格安SIMを使うのならば今はFREETEL一強状態かと思います。データ通信を任すのには今最適なMVNO回線であることは間違いないでしょう。機能などはそれほど多くはありませんが、単純に快適に通信できるという点においてこの格安SIM以上のものは今月含めここ最近見ることが出来ていません。
事業者としての姿勢は大分前に比べるとかなり信頼度の高いMVNOに変化してきましたが、IIJmioやmineoと比べるとまだ不安なところが見えるため、消耗品的にヘビーに使う目的が今はいいでしょう。
逆に長い目でMVNOを選ぶ際には事業者の信頼度や機能の多さを目安に選んだほうが良いでしょう。そんなに頻繁にMVNO間を移動する予定がない方や音声付帯プランを契約予定の方は、機能性や速度回復に対して信頼おけるMVNOを選んだほうが良いでしょう。
その1つに挙げられるのは現状mineoが適しているかと思われます。今月はがっつり速度低下を起こしていますが、対応力や情報発信力、それに各種契約プランに付帯する機能の多様性は他社にはないものとなっています。
※追記:実際にマイネ王内で設備増強スケジュールと速度低下を把握している旨を発表しており、信頼性という部分では情報発信の力が弱い各MVNOに比べても高いものを見せつけています。
今後の帯域設備増強については不透明ながらも、mineoのこれまでの姿勢を考えれば信頼して良いものに感じられます。「マイネ王」のような濃いユーザーの集まったコミュニティも完成しており、今後のMVNOを見ていく上では外せない存在になっています。
申し込みの際には以下のキャンペーンもお忘れなく
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2016/01/mineo-syoukai/”]
これらとはまた別に今月また速度が良くなり、案外12時台以外は11月以降の劣化が少ないという観点から、UQ mobileもおすすめのMVNOの1つとして復活させられるかと思います。KDDI系の回線にはなりますが、快適さではFREETEL級の存在感かと思われます。LTENETを外れ普通のMVNOになってはしまったものの、それでも好調さは12時台以外でキープしているのは好印象です。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2015/11/uqmobile-slow/”]
特にUQ mobileが使えるSIMロック解除の必要性がないLTE対応auスマホの白ロムが、MNPキャッシュバック終了に伴い白ロム量の流通が減っています。HTC J butterfly HTL23やGalaxy S5 SCL23といった高性能格安白ロムが3万円ちょっとで買えるという状況も近いうちに終わってしまうかもしれません。
その前にUQ mobileとセットにして揃えておいたほうが良いかと思います。
次のHTV31やSOV31が安くなり始めているものの、こちらのVoLTE対応スマホはSIMロック解除に時間を要するということで、購入時期などの情報がないと格安SIM向けの白ロムとしては不向きなところが目立つため、こちらが主流になるのはもう少し先でしょうか。そもそも白ロムが今後流れるか不安なところもありますが。
というような感じで以上3つのMVNOを今は目的別に選べば安泰なのではないでしょうか。
- 速度重視のFREETEL
- 長期的な信頼と多機能性のmineo
- ハイスペック格安スマホとセットで使えて速いUQ mobile