DMM.comがMVNO事業に参入し、「DMM mobile」を開始します。
最近のMVNO関連の盛り上がり方は凄いことになっていますが、手広く様々な事業を展開するDMMも目をつけて参入してくるようです。
若干新規参入のニュースが飽和気味で個人的に飽きてきだしたところだったのですが、今回の「DMM mobile」についてはそのMVNE元や料金プランの豊富さで期待させる内容にはなっています。
格安SIMや格安スマホセット、開始当初のキャンペーンなどスタートダッシュの用意も手堅いため、結構本気で活動してくるかもしれません。
というわけで今回はこの「DMM mobile」の契約内容についての詳細を紹介したいとおもいます。
回線元はIIJmioか
まずこの「DMM mobile」についてはサービスインしたばかりのサービスということで、どの程度の実力になるのかというのがわかりません。
ただその一つの参考になりそうな指標が既に出ており、これを見る限りはまだ実際には使ってはいないものの、期待は出来るSIMになるのではないかとおもいます。
というのも「DMM mobile」は接続APNの一部に「vmobile.jp」というアクセスポイント名が使われているのが確認できます。
このAPN名は「IIJmio」がMVNE元となって使われている卸回線の一つです。
参照:NTTドコモの主要なMVNEとMVNOの関係をAPNから整理してみた | BLOGRAM
そのため、この「DMM mobile」は独自にdocomoからサービス卸をしているのではなく、「IIJmio」からdocomo回線を卸してもらっている、という判断が出来るでしょう。
「IIJmio」はMVNOの中でも評判のすこぶる高いMVNO事業者です。意識の低いMVNOだと回線速度にバラつきが頻繁に起きたり、パケ詰まりが発生してしまうという「回線品質」の低い回線を提供していますが、「IIJmio」は真面目にMVNO事業に取り組み(表現として微妙な例えですが)こうした「回線品質」を高いレベルで維持しています。
またiOSのアップデートなどが行われた際には、いち早く自社で端末ごとの対応状況をチェックして利用者に使用状況の報告をするなど、ユーザー目線での活動が多いのも好評を得ている一因でしょう。
「DMM mobile」は新興ながらもMVNOの老舗である「IIJmio」の回線を使っているため、速度や安定感といった回線品質の部分である程度まともなサービスが行われることが予想されます。
IIJ系では最安?かつ豊富な選択肢の料金プランと機能
料金プランもIIJの特性を引き継ぎながら、IIJには無いデータ容量の提供をするなどMVNO間で相互にプランの穴埋めの出来る料金プランを提供しています。
用意されている契約は音声+データ/データ単体、そこにスマートフォン端末を加えるかどうか、という選択が出来ます。まずはSIM単体での料金プランを以下にまとめました。
音声+データ/データプラン単体(税抜き)
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 7GB | 8GB | 10GB |
データプラン | 660円 | 1280円 | 1780円 | 2280円 | 2780円 | 3680円 |
音声+データプラン | 1460円 | 1980円 | 2380円 | 2880円 | 3580円 | 4480円 |
シェアコース(一つの契約で3枚のSIMカードを発行可能)
8GB | 10GB | |
3枚ともデータプラン | 2780円 | 3680円 |
1枚のみ音声 | 3580円 | 4480円 |
2枚音声 | 4380円 | 5280円 |
3枚全て音声 | 5180円 | 6080円 |
その他特徴
IIJ系最安の1GBプラン シェアコースは8GBと10GBを用意 200kbps時にはIIJ系独自の「バースト転送」により約3秒ほどは高速通信が可能 3日366MB規制あり 音声プランを付けた場合には最低利用期間が発生、解約金は9000円 新規契約に3つのキャンペーンを用意 オプション契約には端末保証系 |
IIJ系最安プランやデータ容量の増えたシェアコースあり
データ容量が違うため単純な比較は出来ないものの、DMM mobileはIIJ系のMVNOの中では1GB/月660円という最安の料金プランを用意しています。
IIJ本体やhi-ho、BB exciteが用意しているプランの中では最安です。
またシェアコースがIIJもhi-hoも7GB/3枚という同一のシェアプランしか用意していなかったのですが、DMM mobileはそこで競合すること無く、8GB、10GBという「もっと容量が欲しい」利用者へ向けた大容量シェアコースを用意しました。
8GBプランはIIJの7GBよりも220円追加で契約でき、10GBはそこに更に900円追加で契約できます。
その他の単体での契約も、IIJの2GB、4GB、7GBという穴を埋めるようにしてデータ容量を分けています。
バースト転送他IIJの機能が利用可能
IIJの強みとして大きい要素は「バースト転送」の存在でしょう。
「バースト転送」とは200kbpsという低速回線状態で利用する際に、データ接続が始まった最初の数秒間だけは200kbpsの規制速度ではなく、ベストエフォート150Mbpsの高速通信での通信接続が出来るという機能です。
この最初の数秒間の間に大体のデータを読み込むことで、このバースト転送が終了して200kbpsの規制速度で通信が開始されても、待たされること無くコンテンツの序盤部分を楽しむことが出来ます。
Webサイトだったら大体のテキストや一部の画像がこの時点で表示されるため、残りの読み込みきれなかった画像などが200kbpsでゆっくりとダウンロードされる形になります。テキストを読むだけだったらこのバースト転送のお陰で速度規制を感じないレベルかとおもわれます。
またIIJによるとこのバースト転送による一時的な高速通信は、ストリーミング通信系のコンテンツ(radikoやツイキャス)では一定間隔ごとに行われるということで、バッファが途切れずに視聴することが可能、と報告しています。
また、翌月への余ったデータ容量の繰り越し機能も付いており、無駄なく契約したデータ容量を使って通信することができます。通常の契約に付帯するデータ容量は翌月まで、購入した追加チャージは3ヶ月後まで持ち越しをすることができます。
その他では高速通信のOn/Offが設定できるところもIIJと共通の機能です。
解約金やオプション
契約事務手数料 | 3000円 | SMSオプション | 150円/月 |
追加チャージ | 100MB:200円 500MB:600円(2015/3月末まで、通常1000円) 1000MB:1100円(2015/3月末まで、通常2000円) |
端末交換オプション | 350円/月 |
テザリング | 無料(要対応端末) | 留守番電話 キャッチホン |
非対応 |
解約金 | 9000円(音声プランのみ) | 転出事務手数料 | 3000円 |
解約金は音声プラン(+6~800円)を契約した場合に発生します。
12ヶ月以内の解約に対して9000円です。
IIJ本体では契約期間がひと月経過する毎に解約金が減る変動制でしたが、DMM mobileでは解約時期に関わらず定額の解約金が発生します。
オプションには端末交換オプションとして格安スマホセット契約向けのものが月額350円から用意されています。
年1回の利用までですが、この保証オプションに入っていれば交換費用3000円で端末をリフレッシュ品に交換できます。
その他には250円/月のセキュリティオプションやこの2つをセットにした500円のパックもあります。
他のMVNOがオプションとして用意している留守番電話やキャッチホンオプションはDMM mobileには残念ながらありません。
オプションセットで考えないと端末セットは割高
ZenFone 5 | freetel XM | LG G2 mini |
一括 3万1000円 | 一括 2万8800円 | 一括 3万2400円 |
Ascend G6 | Nexus 7 | Ascend Mate7 |
一括 2万9800円 | 一括 3万9600円 | 一括 4万9800円 |
スマートフォン端末とセットにした「格安スマホ」もDMM mobileでは契約することができますが、こちらは全体的にどの端末も価格が割高です。
6端末揃えていますが、マシな契約はZenFone 5かAscend Mate7ぐらいでしょう。Ascend G6は単体で購入すれば現在1万7000円で販売されているので、DMM mobileの2万9800円はかなり高い販売価格です。同様にfreetel XMもイオシス
で1万円引きで販売されていますので、とてもじゃないですがおすすめできません。
基本的にDMM mobileではSIMのみ契約をして端末は別途個人で購入するほうがいいでしょう。あえて端末とのセットに優位性を見出すなら、先ほどの端末交換オプションで安心・保証を共に購入するという感じでしょうか。
3万円ほどの端末が多いですが、この中から選ぶよりも現在値下げされたAscend P7などのほうが同じ価格でも長く使えるSIMフリースマートフォンとして評価出来ます。FOMAプラスエリアに非対応という弱点こそありますが、頭ひとつ抜けたハイスペック端末です。
Ascend P7 |
DMMサービスとのキャンペーンも
DMM mobileはサービス開始に伴い現在3つのキャンペーンが行われています。
最大2ヶ月無料キャンペーン(通話SIMのみ)
2015年の2月28日までに契約した場合、契約月を含む2ヶ月分の基本料金が無料になります。
対称となるのは音声通話をプラスしたコースのみで、データプランのみの契約は対象外です。
音声プランでは最低利用期間と解約金が発生するため、2ヶ月無料と言っても使う予定をよく考えないと損失のほうが大きくなってしまいます。
請求金額の10%を還元
DMM mobileの月額利用料のうち、端末セットの分割支払いを除いた10%の金額を「DMM ギフト券」として利用者に還元するキャンペーンが行われます。
「DMM ギフト券」の有効期限は発行日から1ヶ月間なので、持ち越ししてギフト券を統合するという使い方は出来ません。
キャンペーンは今のところ終了期限が案内されていないため、契約中は常に発生する還元キャンペーンとなります。
DMMゲームズに使えるボーナスポイントプレゼント
DMMはブラウザゲームなどのゲーム事業で現在波に乗っています。
様々な種類のゲームが無料や有料で遊べるサービスが利用できます。
このゲームサービスで使えるポイントが1000ポイント分がDMM mobileへの加入で手に入れることが出来ます。
ポイントはゲームサービスのみに利用可能で、有効期限は発行から14日間となっています。
速度は混雑時にも頼れる速度で通信可能
DMMモバイルはIIJmioがMVNE元ということもあってか、速度はかなり速いと感じます。
混雑時といわれる時間帯の一つである午後10時頃でも10Mbps・・・は流石に出せないものの、5Mbps以上は安定して出してくれています。速度面では現状何も心配はいらないでしょう。強くおすすめ出来るMVNOと言えます。
回線元がIIJmioという可能性が高いため、「DMM」というちょっと不安を感じてしまうブランドでも通信サービス自体は一定のレベルの品質で提供してくれることでしょう。
DMMは多くの事業でサービスを展開していますので、今後は現在発表されているキャンペーンのみならず、別事業との連携が増えるとかなり面白くなりそうです。
NifMoのように通信サービスのみならずその他のサービスとの連携を深めていければ、DMMのコンテンツ力ならばかなりの人気を得ることが出来るでしょう。IIJ系回線がこうした外部コンテンツと連携できれば、MVNOの選択肢としてトップクラスの位置を盤石に出来るかとおもいます。
個人的には現時点でもかなりオススメですので、MVNOの選択肢として考えておくべきかと思います。他社との速度比較でも非常に優秀な結果を見せています。
MVNO格安SIM10社の実効速度を主に混雑する時間帯で比較してみた | スマホ辞典