この記事に対して「イオンモバイル」についての情報を得ようとするアクセスが多いので、2016年2月26日から開始となったイオンがMVNOとして独自に運営を開始した「イオンモバイル」についての情報をまとめておきたいと思います。
イオンモバイルはサービスインと同時に契約者が殺到、自分も当日のお昼前に申し込んだにも関わらず開通が翌日午後までかかるほどの大盛況っぷりを見せています。
当日午後や翌日は契約体制が整うまで一旦受付を停止するなど「格安スマホ」の生みの親とも言えるイオンの行うMVNOに大きな期待がかかっているのがわかります。
店頭サポートというこれまでにない魅力
イオンの行うMVNO「イオンモバイル」の最大の魅力は何でしょうか。
プランの豊富さやイオンブランドということで安さや安心感もあると思いますが、そうしたメリットの中でも他社が簡単には追随できないものとして「店頭サポート」というものがあると思います。
MVNO格安SIMの弱点はサポート体制が非常に弱いことです。有料のオプションや独自のコミュニティサイトを作ることでその弱点を補おうとしているMVNOもありますが、やはり直接スマホに関する悩み事を対面で解決できる手段を持つのは、サポート体制の充実には欠かせません。
現状IIJmioがビックカメラの店頭やFREETELがヨドバシカメラの店頭でのサポート体制を所有していますが、まだまだ店頭でのサポートという点では弱い状況です。
そこに今回イオンが独自の回線としてMVNO「イオンモバイル」で参入してきましたが、イオンでは携帯販売を担当するMVNOの名称とは別の「イオンモバイル」というショップを主要なイオンに展開しており、その豊富な先行資源とも言うべき莫大な数の店頭窓口というメリットを初めから持つMVNOになりました。
ビックカメラやヨドバシカメラでは店頭サポートがあるといっても主要駅前の店舗のみですが、イオンならば郊外店など普段使うお店の中で気軽にサポートを受けられるという状態になり、MVNO格安SIMの初心者でも安心して使うことが出来ます。
回線はIIJmioから借りているため、品質の高さも備える
イオンではこれまではSIMの運営は他社MVNOに任せ、イオンが果たす役割はあくまでも「販売」を担当する店舗でした。
それが今回は自社でMVNOを運営することになり、ようやく店頭販売を活かしたサポート体制をとることが出来るようになりました。
このMVNO回線ですが、自社でドコモと接続するL2接続の形はとっておらず、MVNE元からMVNO回線を提供する形になっています。
イオンに回線を貸し出しているのはIIJmioになっており、DMM mobileなどのIIJ系の回線にイオンモバイルは含まれます。
IIJの回線は長くMVNOを運営していること、またグループ全体で100万契約を超えている点から、その回線品質の確かさや強度といったものは信頼のおける回線です。イオンモバイルがここの回線を使っているということで、品質面では新興のMVNOのような不安定さがないという意味において安心できる回線です。
速度についてはまだ評価を保留すべき部分ですが、ある程度IIJと同じようにピーク時は遅いが夕方までは快適な回線として使えることは間違いないでしょう。
追記:イオンモバイルの実際の速度を計測してみました。これを見る限りは非常にIIJmioやDMM mobileといったIIJグループの回線に似た通信状況であることが分かります。
[blogcard url=”https://smaho-dictionary.net/2016/03/mvno-speed-review13/”]
料金プランは選べる29種類、低速は366MB制限あり
イオンモバイルの料金プランは非常に細かいデータ通信量で分けられています。
料金は平均的なMVNOよりも安いために実質的には最安値に近いです。
低速規制時、もしくは高速通信をOFFにした場合には200kbpsの速度に規制されます。
ただし200kbpsで通信できるのは3日間で366MBのみで、それを超える容量を使うと128kbpsでの速度になってしまいます。
データプランはもちろん音声プランも解約金は存在しません。
ただし12ヶ月以内のMNPは8,000円の手数料を取るようにしており、即日開通からのMNP弾化を防いでいます。
イオンモバイルはどうなる?
イオンモバイルはMVNE元にIIJmioを採用したことで、回線の運営や管理をそちらに任せて、SIMの手続きや各種操作などのサポート業務に力を集中させるMVNOになるかもしれません。
そうしたサポート重視のMVNOはほとんどなく、「安心感」を与えるMVNOとしてイオンモバイルは確かな地位を築きそうです。
イオンモバイルの契約にはクレジットカードが必須です。今はまだSIMのみの契約ですが、今後は端末の分割購入や特別な割引、ポイントの増加などを取り組みとして始めるようです。
クレジットカード自体はどれでもSIMのみなら契約できるものの、端末のポイントなどはイオンカードを予定しているということで、もしもイオンモバイルへと変更するようならば今後のことも考えてイオンカードを用意しておくといいでしょう。
イオンカード(WAON一体型)
今後はネット販売も
現状でも既にイオンモバイルの契約はスマホセットで契約できるようになっているのですが、今後はSIM単独での契約も出来るようになるようです。
店頭での契約は今でこそようやく当日開通が可能になってきたものの、待ち時間は3時間以上、土日は翌日開通という状況が続いています(3月15日現在)。
別にネット経由の契約においても店頭サポートは受けられるので、開通だけ時間がかからないネットで行い、それでわからないところが出たら店頭でサポートしてもらうという形が良いかもしれません。
注:以下の記事は2015年4月に発売されたスマホと格安SIMの話題を取り扱ったものなので、最新のイオンモバイルの情報ではないので注意してください。
今回は良くも悪くもなにかとその評判が記されることの多いイオンスマホについてまとめてみたいと思います。
イオンモバイルではイオンの店頭で販売する契約付きのスマートフォン、いわゆる格安スマホの販売をしていますが、2015年の3月から4月にかけて一挙に3端末を新たにラインナップに加えます。どれも日本のメーカーが発売元になっています(製造元は海外のものもあり)。
従来の「格安」であることに比重を置いた低価格路線ではなく、キャリアのスマートフォンからののりかえ需要を見越して安さよりも使いやすさや性能を重視したラインナップのように見受けられます。このため、価格自体はこれまでよりも上がって「格安」さは下がっていますが、その分利便性という点では今までの海外メーカー製よりかは上の内容となるでしょう。
安さ以外の品質を提供し始めたイオンスマホの新たなラインナップについて、今回はそれぞれのスペックや料金、そしてセットで使うことになるMVNO格安SIMの速度について比較してみようと思います。
イオンスマホ第5/6/7弾 スペック・価格
3月~4月にかけて発売されるのは、「VAIO Phone VA-01J」「Kyocera S301」「Xperia J1 compact」です。まずはこれらのスマートフォンのスペックを確認しておきましょう。
VAIO | S301 | Xperia J1 | |
---|---|---|---|
Android OS | 5.0 | 4.4 | 4.4 |
CPU | MSM8916 Snapdragon 410 | MSM8916 Snapdragon 410 | MSM8974 Snapdragon 800 |
端末サイズ | 141.5 × 71.3 × 7.95 mm | 144×73×10.8 mm | 128×65×9.7 mm |
重量 | 130g | 146g | 138g |
ディスプレイ | 5.0inch | 5.0inch | 4.3inch |
解像度 | 720×1280HD | 540×960qHD | 720×1280HD |
RAM | 2GB | 1GB | 2GB |
ROM | 16GB | 8GB | 16GB |
LTE対応Band | B1,3,19 | B1,3,19 | B1,3,19,21 |
バッテリー | 2500mAh | 2300mAh | 2300mAh |
連続通話時間 | 800分 | 1360分 | 580分 |
メインカメラ画素数 | 1300万画素 | 500万画素 | 2070万画素 |
フロントカメラ画素数 | 500万画素 | 200万画素 | 200万画素 |
ワンセグ/フルセグ | ×/× | ×/× | ×/× |
SIMサイズ | micro SIM | micro SIM | micro SIM |
テザリング | ◯ | ◯ | ◯ |
外部メモリ | microSDXC 64GB | microSDHC 32GB | microSDXC 64GB |
端末価格 | 51840円(税込み) (2160円×24回払い) |
32184円(税込み) (1458円×24回払い) |
59184円(税込み) (2466円×24回払い) |
Xperia A2ベースのXperia J1 compactはおサイフケータイ対応・高画質カメラ・CPUにS800・防水というスペックは非キャリア端末の中では異色の高性能さになっています。その分値段は結構とられてしまいますが、少なくとも端末の性能だけ見ればヘビーな用途に使っても2年近くは満足できるパワーを発揮してくれるでしょう。
S301はスペック自体は低めですが、国産SIMフリー・防水という機能を持つスマホでは比較的低価格帯に位置しています。国産端末を使いたいというのは、中高年代を中心に高い需要があるとイオンもかつて調査報告で発表しており、そうした層に向けたミドルレンジスマホになるでしょう。
防水・防塵・耐衝撃性能を保有しており、万が一水に濡れる使い方や高い所から落としてしまったりしても、壊れる確率がその他のスマホよりも少ないというのは安心して使えるかと思います。
これで価格も29800円からとなっているため、ここまでの販売台数はまだ公表されていませんが潜在的にも人気が高いのではないかと感じています。
VAIO PhoneもS410・RAM2GBとスペック自体は悪くなく、スマホで使える便利なアプリや機能のほとんどをある程度の快適さで利用することができるでしょう。
問題はスペックというよりも価格を含めたコスパのバランスです。スペック的には3万円前後が適正価格かと思われますが、ほぼXperia J1 compactと同程度の価格となり「高い」と言わざるを得ません。
VAIO Phoneを考えるときにはスペックよりもまずこの価格が問題になることでしょう。ブランドに価値を感じる方向けと言えます。
なお、タッチパネルが怪しい動きをしているそうなので、その辺はネット上の口コミや実機に触れてみて確かめておいたほうがいいでしょう。
そもそも利用に適した用途が違うため、単純にスペックを比較しても仕方がないのですが、目安としてはXperia>VAIO>S301という並びで数値上の性能では良くなっています。良い性能のスマートフォンを契約したい場合には、やはりそれ相応の金額を支払うことが必要となってきます。
格安SIM契約の比較
イオンスマホの特徴は、契約するスマートフォンによって一緒に使うことになる格安SIM回線の提供元となるMVNOが異なるという点があります。
スマートフォンの販売価格に合わせてMVNOのプランを変更し、一定の支払金額に収まるようにうまく調整しているようです。
今回比較する3つのイオンスマホでも、全てが異なるMVNOと契約することになり、そのプランの料金やコース内容も全然違います。
- VAIO Phoneにはb-mobile
- S301にはBIGLOBE LTE・3G
- Xperia J1 compactにはSo-net Play SIM
という組み合わせになっています。
それぞれMVNOが用意している通常の料金ではなく、イオンモバイル向けに特別な仕様になっており、データ容量が増えたり割引が24ヶ月間発生して安くなるなどの特典があります。
イオンスマホとして契約する場合にはいずれも音声回線付きの契約ですが、契約解除料は発生しないようになっています。
端末分割支払い | 端末一括支払い | |
---|---|---|
VAIO b-mobile |
1GB/150Mbps 3218円 |
1GB/150Mbps 1058円 |
無制限/150Mbps 4298円 |
無制限/150Mbps 2138円 |
|
S301 BIGLOBE LTE・3G |
1GB/150Mbps 2916円 |
1GB/150Mbps 1458円 |
6GB/150Mbps 3240円 |
6GB/150Mbps 1782円 |
|
12GB/150Mbps 4672円 |
12GB/150Mbps 3214円 |
|
Xperia J1 compact PlaySIM |
100MB/日/14Mbps 3848円 |
100MB/日/14Mbps 1382円 |
150MB/日/150Mbps 4172円 |
150MB/日/150Mbps 1706円 |
|
320MB/日/150Mbps 5252円 |
320MB/日/150Mbps 2786円 |
それぞれイオンスマホ購入時の特別特典を適用させた24ヶ月限定の料金となります。BIGLOBEの12GBプランは追加料金を支払うことで複数回線でシェアが出来ます。
スマートフォン端末を分割で支払った場合は、24ヶ月間スマホの本体代込みで左の料金で使えます。
ただしこの分割支払いはイオンスマホの場合、イオンカードでの割賦契約のみにしか対応していません。そのため一括支払いが困難な場合でイオンスマホを契約したい場合には、事前にイオンカードも用意しておく必要性があります。
イオンカードセレクトイオンスマホ各契約MVNO回線速度比較
使える格安SIMが違うということは速度も異なるということになります。そこで最後の比較はそれぞれの格安SIMでどういった速度が出せるのかを検証してみたいと思います。
この速度もイオンスマホでどの端末を選ぶかということへの一つの指標になるかと思います。
速度計測では直近の比較記事に測定した数値を使いました。詳しい内容はそちらの記事をみてもらうとして、ここでは結果のまとめだけ載せておきます。
MVNO格安SIM,12社の実効速度状況 4月編 OCNモバイルONEの回線品質が急変 | スマホ辞典
いずれも混雑時とされる時間帯を中心に計測しているため、速度は午前中などの時間帯と比べると全体的に出にくくなっています。
平均ダウンロード速度 | 12時台 | 18時台 | 22時台 |
---|---|---|---|
イオンモバイル向け格安SIM | |||
BIGLOBE LTE・3G | 0.35Mbps | 1.25Mbps | 0.69Mbps |
Play SIM | 15.36Mbps | 1.89Mbps | 0.66Mbps |
b-mobile | 2.48Mbps | 2.19Mbps | 3.69Mbps |
3社を見ると一番頼りないのはBIGLOBEの回線でしょうか。混雑している時間帯ではかなり速度の低下を感じられます。平常時でも3~5Mbpsと出せる速度は低めです。日がズレていますが、Play SIMは午前中~午後3時頃までは速度が出やすく感じたのですが、それ以降は5Mbps以上を出すこともなく速度が遅くなります。そうした夕方以降の混雑時には体感として遅くなりますが、それ以外の時間帯ならばスマホに使う用途になら充分耐えられるレベルかと思われます。
b-mobileは今回の計測では一番バランスの良い速度が出ましたが、測定をしようとしてタイムアウトすることが目につきました。こうした問題は今のところb-mobileとmineoぐらいしか観測しておらず、安定性という点でちょっと性能に疑問のある格安SIMです。
SIM側の評価に優劣を付けるとすると、あまり違いは無いもののPlay SIMが全時間帯的に見て速度と安定性という観点で若干マシになるでしょうか。少なくともXperia J1 compactにセットに足るだけの一定の速度は夜間を除いて出ているので、Wi-Fiでカバー出来る環境があれば充分かもしれません。
この3つのスマートフォンの中でどれがおすすめかという結論は用途や機能、性質が違うために比較をしといて何ですがあまり意味はないかと思います。
従来の格安路線のイオンスマホからより利便性を向上させたスマホが揃っているため、イオンスマホという範疇の中ではまた有効な選択肢が増えたといえます。イオンモバイルは今回のセット戦略を2台目からの格安スマホとして位置付けていますが、ある程度その内容に見合ったセットの販売になっています。
自分の使い方に見合ったスマホがあれば、普通にキャリア契約をするよりは簡単に料金を節約して契約できることでしょう。
ただ個人的に言及するとすればKyocera S301の存在は格安スマホはもとよりMNOスマホの中でも稀有な存在になっており、ニーズに合致する場合にはとても魅力的な存在かと思います。
本体代込みの分割で月2980円(税込み3218円)という料金で防水・防塵・耐衝撃性能を有したスマートフォンという契約内容は、まず他のMVNO及びMNOでも見かけることはありませんから、その特殊な性能の部分が気になっている方でしたら契約を推奨しておきたいイオンスマホです。BIGLOBE回線であることがデメリットではありますが・・・。
安いだけで品質面で問題があった(特に第2、3弾)イオンスマホも、より利用者のニーズに合わせたちゃんとしたスマホを揃えるようになってきており、格安スマホとしても魅力的になったのではないでしょうか。セットに選ぶ格安SIMのセンスはもうちょっと必要かと思われますが、今後にも期待できそうです。